厚い壁、雇用動向
2025-03-25 10:21:56

2025年度の雇用動向、採用予定の低下と企業の課題

2025年度における雇用動向とその背景



株式会社帝国データバンクによる調査から、2025年度における正社員の採用予定が58.8%と、コロナ禍以来初めて60%を下回る結果となりました。この結果は、経済回復を期待されていた中小企業にとって厳しい現実を反映しています。

正社員の採用動向



正社員の『採用予定がある』企業は、前回調査から2.7ポイント減少しています。これは新型コロナが影響を及ぼしていた2021年度以来、4年ぶりの低水準です。具体的に言うと、採用人数が「増加する」とする企業は21.7%で、厳しい経営状況の中での人員削減が影響しているのかもしれません。また、『採用予定がない』企業は28.5%に達し、年々増加傾向にあります。

企業からは「人材が不足しているが、退職者が相次いでいるため安定しない」との声が寄せられました。これは、責任ある立場の業種にとっては特に危惧されることです。

中小企業の苦境



特に中小企業は、人手不足にもかかわらず厳しい経営状況に悩まされています。ある中小企業は「人件費の圧力が高まる中、新たな採用が難しい」とコメント。賃金上昇に対する企業の対応が求められる一方で、売上が伸び悩む中で賃上げに踏み切れない状態です。大企業に対する賃金の格差が広がる中、優秀な人材を引き寄せるのはますます難しくなっています。

業界別採用状況



業界別に見れば、『運輸・倉庫』業界は66.2%の企業が採用予定を示しており、他の業界よりも高い採用意欲を示しています。この背景には、『2024年問題』と称される問題が影響しているとみられています。運転手の高齢化が進む中、急務で若手社員の採用が求められているのです。

採用形態の違い



新卒新入社員の採用予定は37.1%で、中途社員の51.0%と比較するとまだ少ない状況です。特に中小企業では新卒採用に懸念を抱き、「教育する余裕が少ない」との声も上がっています。業界全体として、労働市場は流動化しているものの、企業は即戦力を必要としているのが現状です。

非正社員の採用状況



非正社員の採用予定も41.7%と2年連続で減少しています。また、採用を控える企業が増えており、応募が集まらないため外国人のアルバイトへの転換を図る企業も見られます。企業の多くが、賃金の上昇による採用抑制傾向にあることが浮き彫りになりました。

まとめ



本調査から見えてくるのは、採用予定が減少した背景に厳しい経営環境が大きく影響しているという点です。特に中小企業においては、経営の不安定さが人材確保に影響を及ぼしており、さらなる国の支援が必要だとされています。少子高齢化が進む日本において、企業が持続可能な形で成長していくためには、働き方の見直しや多様な人材の採用、経費の見直しが深く求められているのです。人手不足の長期化が懸念される中、今後の政策や経営手法が重要になってくるでしょう。


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