アドビが「まちの広作室 in わせだ」を開催
2025年8月28日、アドビ株式会社は新宿区で「まちの広作室 in わせだ」と称するデザインワークショップを行いました。このイベントは、地域の商店員や事業者が広報制作物をより効果的に作成できることを目指しており、アドビのデザインツール「Adobe Express」を活用することが中心テーマでした。
この「まちの広作室」というプロジェクトは、東京や福島、鹿児島、大阪など全国各地で実施されており、地域の広報やデザインに関する課題を解決することを目的としています。今回のワークショップは、早稲田大学周辺の商店連合会及び高田馬場コネクションと連携し、多文化共生をテーマに設定されました。商店の関係者と大学生が協力するデザイン作業を通じて、地域社会での情報発信を強化する狙いがあります。
多文化共生の重要性
早稲田・高田馬場エリアは、外国人住民や留学生が多く居住する国際的な地区です。新宿区が以前行った調査では、地域の日本人に対する期待として約30%の人が「あいさつなどで親しく接してほしい」と回答しており、地域住民同士の交流の重要性が浮き彫りになっています。しかし一方で、商店街の関係者からは「多言語の広報物を作成するのが難しい」といった声が上がっており、情報発信が言語の壁によって制約されている現状があります。
今回のワークショップでは、まず、ダイバーシティ研究所の代表理事である田村太郎氏が講演しました。彼は「多文化共生における情報発信について」語り、言語対応やデザインの重要性を論じました。田村氏は、在留外国人の増加に対応する情報発信がまだ日本語中心であることに警鐘を鳴らし、多様な文化が共存する町づくりのために新しいデザインツールの活用を強調しました。
Adobe Expressを使った実践的な学び
講演の後、参加者は実際にAdobe Expressを用いたワークショップに参加しました。北沢直樹氏が講師を務め、多言語翻訳機能の実演を行いました。参加者たちは日本語で作成したチラシやポスターを英語や中国語に翻訳する体験をしました。このプロセスを通じて、広報物の作成がいかに簡素化されるかを学ぶことができました。
また、ワークショップの中では、参加者自身のビジネスに関連するロゴや商品写真を使用したポスター制作も行い、その内容をSNSコンテンツに応用できることも学びました。一人の商店街の店主は、「手軽に多言語対応の広報物を作成できるようになった」とその利便性を語りました。
さらに、早稲田大学の商店街支援サークルである「まっちワークグループ早稲田」や早稲田祭の運営スタッフも参加し、デザイン技術の習得に取り組みました。参加した学生たちは、将来的にもデザインツールを使って商店街の広報活動を支援する計画です。
今後の展望
アドビは今後も「まちの広作室」を通じて全国の商店や企業が抱えるデザインに関しての課題解決を進めていく意向を示しています。また、全国で多くの事業者が自らのクリエイティビティを活かせるよう、低コストで導入できる全機能が集約されたAdobe Expressの普及にも力を入れる方針です。
このように、アドビはデザインを通じて地域社会の発展に寄与することを目指しています。これからも多文化共生を育むデザインの力を広め、地域のコミュニケーションを向上させる取り組みが期待されます。