JALが描く2035年の成長戦略と理想の未来社会
2026年3月2日、JALグループはその未来に向けた新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」を発表しました。このビジョンは、変化する環境に適応しながら持続可能な成長を実現することを目指しています。
1. 新たな成長戦略への転換
従来の5ヵ年の中期経営計画から、10年の長期ビジョンと柔軟な単年度計画へのシフトを図り、短期計画では難しい根本的な事業変革に挑む姿勢が伺えます。また、環境変化を見据えた機動的な対応能力を高めることを目指します。
具体的には、2030年度にはEBIT3,000億円、2035年度には3,500億円以上の達成を目指しており、これに向けた戦略的な資源配分として、5年間で2兆円超の投資を実行する計画です。特に、機材の更新や新たな事業領域の強化に焦点を当て、さらなる成長を追求します。
2. Sustainable Well-being Future の実現
JALグループは「Sustainable Well-being Future」を掲げ、テクノロジーの進化が社会における孤独や分断の課題を背景に、人々が繋がる理想的な未来像を描いています。個々が多様な価値観の中で自己選択をし、その幸福が社会全体に広がることを目指しています。このビジョンは、JALグループが提供する独自の価値を通じて実現する考えです。
3. 事業ポートフォリオの変革
JALが目指すのは、外部環境に強い事業ポートフォリオの構築です。3つの軸、すなわち「Growth」、「Sustainability」、「Social Impact」に基づき、事業の成長機会を捉えつつリスクに柔軟に対応する構造改革を行います。
Growth
2030年度には国際線ASK(航空座席キロ)を2025年度対比で1.3倍に増強し、フルサービスキャリアとLCCモデルの両方を展開。アジアと欧米間の貨物需要の拡大にも応じ、大型貨物機を増やし、収益性の向上を目指します。
Sustainability
国内路線事業では、構造改革を行い、2028年度には利益率10%・EBIT600億円を目指します。燃油価格や物価上昇に対応したコスト抑制施策を導入し、効率的な運営を追求。
Social Impact
JALグループは、近未来のエコシステムを構築し、「関係・つながり」が生まれ、人々のウェルビーイングを向上させるための取り組みも行います。2035年度には60億円以上の社会的インパクトを創出することを目標としています。
4. CX、GX、人財/DX、安全への取り組み
顧客体験(CX)を重視し、新ブランドスローガン「Soaring Together」と共に、深い顧客関係の構築を目指しています。さらに、2050年に向けてCO2排出量ゼロを目指すGX(Green Transformation)や、デジタル技術を駆使した生産性向上に向けた人財/DXの強化を推進します。また、安全の確保を優先事項として掲げ、世界最高水準の安全品質を追求します。
5. 財務戦略と業績予想
EBITマージンは10%以上、ROICは9%以上、自己資本比率は45%を維持し、強固な財務体質を確保します。配当性向は35%程度を目指し、利益の拡大に合わせた還元策を実施。
2026年3月期にはEBITが2,050億円に上方修正され、年間配当金も増額する見込みです。JALグループは今回のビジョンを通じて、将来の成長を加速させる体制を整えています。
このように、JALグループの「経営ビジョン2035」は、変化する航空業界において持続的成長を実現するための大胆な一歩として、多様な取り組みが進められています。