Spiber x イリス・ヴァン・ヘルペンの初コラボ
2025年秋冬のパリ・オートクチュール・ファッションウィークで、Spiberとオランダのクチュールデザイナーであるイリス・ヴァン・ヘルペンが初めてタッグを組み、注目のウェディングドレスが発表されました。このドレスは、自然由来の材料を用いて開発されたプロテイン繊維「Brewed Protein™」を使用した新たな作品であり、特にブライダルルックとして注目されています。
自然からのインスピレーション
Spiberは2007年に設立され、バイオテクノロジーを活用して自然界の構造からヒントを得た新素材の開発を行っています。それに対し、イリス・ヴァン・ヘルペンも2007年に創業し、日々自然界からのインスピレーションを反映した前衛的なクチュールを展開しています。両者は、それぞれの分野で革新を重ねながらも、自然への敬意と共通するビジョンを持っていることから、今回のコラボレーションが生まれました。
Iris van Herpenのコメントは次の通りです。「Spiberのアプローチは生物模倣の精神を持ち、私たちの考え方と深く結びついています。Brewed Protein™ファイバーの軽やかさとやわらかさが、私が求める素材感を提供してくれました。」
ドレスの詳細
ウェディングドレスは、Brewed Protein™ファイバーを用いて構造がデザインされ、レーザーカットされたファイバーの骨組みに、月の形を模したシアーオーガンザが熱接着されています。ヌードカラーのチュール部分には、白い花びらのようなパーツが多数縫い付けられ、全体的に流れるような美しさを感じさせます。このような繊細なデザインは、ドレスに特有のナチュラルでオーガニックな印象を与えており、着る人にとっても特別な体験を提供します。
禅的な美意識
Spiberの代表、関山和秀氏は、「私たちが考える素材は単なる受動的存在ではなく、表現する力を持つものです。素材は物語を語り、私たちと自然との関係を再定義する力があります。」と述べています。彼は、Iris van Herpenのデザインと自社の哲学が共鳴したことを特別な経験と捉えています。
新しい未来を目指して
このドレスは、ただのファッションショーの一環ではありません。双方が共通する信念のもと、環境問題やファッションの複雑な課題に挑むために生まれました。SpiberとIris van Herpenは、今後も協力し合い、素材の可能性をさらに探求し続ける意向を示しています。
イリス・ヴァン・ヘルペンは、革新的な技術と従来の技術を融合させることで、新たなクチュールの境地を開くデザイナーとして名を馳せています。彼女の作品は視覚だけでなく触覚や空気感にまで及びます。
また、Brewed Protein™ファイバーは、植物由来でありながらもシルクのような光沢やカシミヤのような滑らかさを兼ね備え、持続可能な製品を目指すSpiberの理念を体現しています。環境への影響を軽減する可能性を秘めたこの素材は、今後のファッションの未来を形作る上で注目されています。
この協業がもたらす革新に期待しつつ、私たちは全く新しい形のウェディングドレスを通じて、自己表現の未来を感じていきたいと思います。