廃棄ホップの再利用から誕生した新たなビール
クラフトビールの新しい潮流として、環境への配慮が重要視されています。その中でも、使用済みホップを再利用する革新的なプロジェクトが、フードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN株式会社によって立ち上げられました。この企業は、クラフトビールメーカーVERTEREとバイオベンチャーのユーグレナ社と連携し、「サステナブルホップビール」を開発しました。これは使用済みホップを再利用し、かつ新たな魅力を引き出すための試みです。
使用済みホップの再生
このプロジェクトにおける特徴的な取り組みは、ビールの製造過程で一般的に廃棄されるホップを再生する点です。本プロジェクトでは、使用済みホップをASTRA FOOD PLANの過熱蒸煎技術で乾燥・殺菌し、新たなアロマを持つ「ホップぐるりこ」として生まれ変わらせています。その結果、従来のホップが持つフルーティーな香りに加え、花やウッド系のフローラルな香りが加わり、全く新しいビールの可能性を提示しています。
使用済みホップは、IPAなどのビールを作る際に重要な素材ですが、通常は一度使用して廃棄されてしまいます。しかし、ASTRA FOOD PLANはこの資源を有効に利用し、ビール製造時の残さを価値ある商品へと変えることで、廃棄ゼロを目指しています。今後は、麦芽かすなど他の食品残さのアップサイクルにも挑戦する予定です。
イノベーションとクラウドファンディング
この「サステナブルホップビール」は、2025年3月26日からクラウドファンディングサイト「Makuake」で販売を開始する予定です。このプロジェクトは、サステナブルな社会の実現を目指し、未利用資源を活用することで、ビール産業の持続可能な発展に寄与することが期待されています。支援者には限定醸造のビールが提供されることもあり、早速注目を集めています。
さらに、これまでにない風味を持つクラフトビールへの挑戦である「サステナブルホップビール」は、フローラルやシナモンを思わせる新しいアロマが特徴です。これにより、これまでのクラフトビールとは異なる価値を持つ商品として展開を予定しています。
環境に配慮したサステナブルな挑戦
ASTRA FOOD PLANの代表取締役社長である加納千裕氏は、このプロジェクトが「使用済みホップにはまだ秘められた可能性がある」という思いから始まったと語っています。過去には廃棄されていたホップに新たな価値を見出し、持続可能な食の未来に向けて取り組む姿勢が感じられます。今後は麦芽かすの再利用など、さらなる可能性を追求していく方針とのことです。
ASTRA FOOD PLANの目指す未来
ASTRA FOOD PLANは、循環型フードサイクルを構築するためのさまざまな取り組みを進めている企業です。過熱蒸煎機を使用し、食品の乾燥・殺菌を効率的に行うことで、食品廃棄物を削減することに貢献しています。また、「ぐるりこ」と名付けられた新感覚のクラフト調味料も展開しており、規格外農作物の活用にも力を入れています。
まとまった食品リソースを最大限に活用することで、ASTRA FOOD PLANは持続可能な社会の実現に向けて、今後ますますの進展が期待されています。新たなアプローチでクラフトビールの未来を切り拓き、環境保護と美味しさの両方を追求する姿勢には、ぜひ注目したいところです。