イノベーション・エンジン、Tenstorrentへの出資を発表
イノベーション・エンジン株式会社(IE)が、次世代AI半導体を手掛けるファブレス企業、TenstorrentのシリーズDラウンドへの出資を行ったことを発表しました。今回の資金調達は約6億9,300万ドルに達し、国内外から多くの投資家が参加しました。この資金を用いて、Tenstorrentは日本における事業展開を一層強化し、人材育成やエコシステムの拡大を目指します。
Tenstorrentの特長
Tenstorrentは、独自のTensixコアを用いて、AI向けコンピューターを開発・販売しています。ハードウェアの販売だけでなく、オープンソースのソフトウェアスタックを提供している点も大きな魅力です。他のプレーヤーと一線を画すこのアプローチは、業界内での競争力を高めています。また、シリコンの所有やカスタマイズを希望する顧客には、AI技術とRISC-V IPのライセンス供与を行っています。
今後の展開
シリーズDラウンドで調達した資金は、Tenstorrentが以下のような分野で活用されます。
- - オープンソースAIソフトウェアスタックの構築
- - 人材の採用
- - AI開発者向けシステムおよびクラウドインフラの構築
- - グローバルな開発・デザインセンターの拡大
- - 日本国内にハイパフォーマンス・コンピューティング・デザインセンターの設立
TenstorrentのCCO(Chief Customer Officer)であるDavid Bennett氏は、「私のキャリアの多くを日本で過ごしてきたため、Tenstorrentにとって日本での成長機会は非常に大きい」と述べ、今回の投資ラウンドを通じて日本市場へのコミットメントをさらに強化する意向を示しています。今年は特に、ハイパフォーマンス・コンピューティング・デザインセンターの設立や経済産業省、NEDO、LSTCとのインターンシップ・プログラムに関する発表が相次いでおり、その流れを継続することが重要だと付け加えました。
イノベーション・エンジンのビジョン
イノベーション・エンジン株式会社の佐野睦典代表取締役は、同社の使命について語ります。「私たちはテクノロジー分野のAI半導体が最も大きな成長を望めるセクターだと信じています。Tenstorrentは新たな技術で競争優位を発揮できる企業として圧倒的なポテンシャルを持っていると確信しています。今回、日本企業として初めてTenstorrentに出資できたことを心から誇りに思います。今後ともTenstorrentと密接に連携し、共に成長を目指します。」
Tenstorrentのグローバル展開
Tenstorrentはカナダのトロントを本拠地とし、米国のオースティンやシリコンバレー、さらにはベオグラード、東京、バンガロール、シンガポール、ソウルにオフィスを構える国際的な企業です。彼らはコンピュータアーキテクチャやASIC設計、ニューラルネットワークコンパイラなど、幅広い専門知識を有するチームを揃えています。今回はEclipse VenturesやReal Venturesなどからも支援を受けており、ますます注目を集めています。
まとめ
イノベーション・エンジンの出資によってTenstorrentは日本市場での存在感を高め、技術革新の先頭を走ることが期待されます。AI半導体市場の成長がどのような形で実現されるのか、今後の展開から目が離せません。