新たな女性アーティスト研究の幕開け
国立アートリサーチセンター(NCAR)とAWARE(Archives of Women Artists, Research and Exhibitions, Centre Pompidou)が共同で実施する「NCAR×AWARE 女性アーティストリサーチフェローシップ」が、2026年度のフェローシップ受賞者として小田原のどか氏と山田裕理氏を選出しました。この発表は2026年4月15日、東京日仏学院にて行われ、大きな注目を集めました。
受賞者の研究内容
小田原のどか氏
小田原氏は、岡山出身の女性彫刻家である久原濤子(1906-1994年)と太田嘉女野(1903-1986年)の二人を研究対象としています。彼女の研究の目的は、近代日本における女性彫刻家たちが直面した制度的・社会的な制約を探り、その中での活動を明らかにすることです。この研究を通じて、彼女は地域の歴史を美術史に結びつけ、これまで周縁化されてきた女性アーティストの存在に光を当てることを目指しています。
山田裕理氏
一方、山田氏は明治から昭和前期にかけて活躍した女性写真家についての文献調査を行います。具体的には、島隆や塙芳埜、そして山本古登女といった写真家の一次資料を通じて、彼女たちの写真実践が近代日本の写真文化にどのように寄与したかを探るのです。これにより、女性写真家たちの重要性を再評価し、その歴史的背景を整理することを目的としています。
フェローシップの目的と意義
「NCAR×AWARE 女性アーティストリサーチフェローシップ」は、日本国内に居住または滞在する研究者やキュレーターを対象にしています。特に、視覚芸術分野で活躍し、日本に縁のある女性アーティストやノンバイナリーアーティストに関する研究を支援することを目的としています。フェローには、最大で5,000ユーロの研究費が支給され、研究成果は2027年の夏以降にNCARおよびAWAREの公式ウェブサイトで公開される予定です。
このフェローシップを介して、NCARとAWAREは、日本における女性アーティストの研究をさらに活性化させるとともに、国際的な研究基盤の形成と文化的多様性の推進にも力を入れています。
選考過程と多様性
今回のフェローシップには、19件の多様な研究提案が寄せられました。選考委員長の仲町啓子氏は、「応募者の国籍や研究方法の個性が際立っていた」と述べ、各提案が厳正に審査され、実績と準備状況が重要視されたことを明かしました。次回の応募には、近現代以前の研究も歓迎されるとのことです。
NCARおよびAWAREのビジョン
AWAREは、16世紀から現在にかけての女性およびノンバイナリーアーティストに関する知識を収集し、国際的なイベントを通じて彼女たちの活動に光を当てています。また、NCARは日本のアート情報を収集し、提供することを使命としており、このフェローシップがその重要な一環を担っています。
今後の展開には大きな期待がかかります。小田原氏と山田氏の研究がどのように発展し、女性アーティストにスポットライトが当たるか、そしてその成果がどのように広く共有されるか、ぜひ注目していきたいと思います。