日本規格協会と大阪大学の共同研究
日本規格協会(JSA)は、このたび大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)と連携し、AI技術に関連するリスクアセスメント手法の確立を目指す共同研究を始めることを発表しました。この事業は2025年5月1日よりスタートし、企業や組織がAIを安全かつ安心して利用できるようにするためのシステムを構築することを目的としています。
共同研究の目的と内容
AI技術がもたらす利点は非常に大きい一方で、リスクも抱えています。具体的には、AIシステムの誤動作や偏見の反映、プライバシーの侵害といった問題が挙げられます。これらのリスクを適切に特定し、評価し、対応する方法を体系的に整えることで、AI技術の持つ可能性を最大限に引き出すことが目指されています。
共同研究を通じて、AIリスクの洗い出しや評価方法、リスク管理のプロセスを整理し、実用的なガイドラインを作成する方向性で進められます。これにより、企業はAI技術を導入する際の不安を軽減し、より積極的な活用が期待されています。
AIリスク研究会の設立
共同研究の成果を基に、日本規格協会は「AIリスク研究会」を設立します。この研究会では、通常のAI開発者や利用者を対象に、AIリスク管理に関する学びや情報の共有が行われます。研究会は、岸本充生センター長を主査として、会員の意見を収集しながら多角的な視点でリスクの理解を深めていく予定です。
研究会は、年に数回のワークショップ形式で開催され、参加者は様々なトピックでディスカッションや講義を受けることができます。これにより、参加者は実際のリスクやケーススタディに基づいて知見を深めることができるでしょう。
事前説明会の開催
研究会に先立って、AISリスク研究会の設立趣旨や実施内容についての無料事前説明会が、5月8日(木)に行われます。この説明会では、岸本センター長が直接講師を務め、AIに関する法令やガイドラインの現状、企業が求められる姿勢について解説します。さらに、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)に遵守したリスクの洗い出し手法なども紹介される予定です。
説明会は日本規格協会本部セミナールームで実施される他、Zoomによるオンライン配信も行われるため、参加しやすい環境が整えられています。事前に申し込むことが求められていますが、当日参加できない方でも後日録画映像が提供されるため、幅広い参加者が期待されます。
日本規格協会グループについて
日本規格協会は1945年に設立され、標準化や管理技術の普及を目的とした多様な事業を行っています。世界的な標準規格の開発や登録、各種マネジメントシステムの審査登録、品質管理検定に至るまで、幅広い分野で活動しています。今回の共同研究を通じて、AI技術の安全な利用が進むことが強く期待されます。