自治体の旅費法改正に関する実態調査
一般社団法人自治体DX推進協議会(以下、GDX)は、全国の自治体322カ所を対象に「旅費法改正への対応および業務課題に関する実態調査」を実施しました。この調査は、2026年3月に発刊された自治体DXガイド増刊号『旅費法改正のリアル』とともに発表され、各自治体の業務におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状や目指すべき方向性を示すものです。
調査の背景
2025年4月に施行された改正旅費法は、1950年の法令化以来、75年ぶりの大幅な改正を伴いました。これにより公務員の宿泊費が実費支給に変更され、日当が廃止されるなど、現行の旅費制度に根本的な変化が生じました。この法改正に対し、自治体は自らの条例を基に対応を決定する必要がありますが、実際の業務には新たな審査プロセスが追加され、それに伴う業務量の増加が問題視されています。
調査結果の概要
調査結果によると、下記のような現状が浮き彫りになりました。
- - 条例改正の進捗状況: 63.9%の自治体が改正に着手済み(32.4%がすでに施行、31.5%が策定中)
- - 宿泊費の運用方針: 57.3%が完全実費支給に移行済み
- - 業務負荷の実態: 業務負荷が増大したと感じている自治体は45.2%(やや増大27.1%、非常に増大18.1%)
- - 業務量の把握: 3.1%のみが業務量を定量把握できていると応答
- - 業務基盤の現状: 85.7%が旧来の業務基盤に依存している
- - キャッシュレス関連: 99.1%がキャッシュレスでの自動連携ができていない
これらの結果から、現状の業務基盤が法改正に追いついておらず、業務負荷の増加の主因となっていることが示されました。特に、受け取った領収書の確認や金額の突合、上限チェックなどがExcelや紙ベースの業務で行われている滑らかさが問題視されています。
DXの優先課題
また、53.6%の自治体が「審査レス化」をDX推進の優先課題として挙げています。これにより、より効率的かつエラーの少ない業務体制への移行が期待されます。デジタル化の実施に明確な指針が見出されていることは、自治体の将来的な業務改善に向けて明るい展望を示しています。
自治体DXの現状と目的地
本調査を通じて、「制度は進展しているが、業務基盤は変革に追いついていない」という課題が明らかになりました。今後、実務において何をDX化すべきかの方向性は鮮明になってきており、各自治体が効率化に向けた行動を取る重要性が認識されています。これを踏まえて、今後の方策や施策が検討されることが期待されます。
まとめ
自治体の旅費法への適応は進みつつありますが、その裏では業務の負担が膨らんでいる現実があります。調査から明らかになった課題を解決するために、デジタル化を推進し、業務基盤を見直す必要があるでしょう。各自治体が自らのDXの「現状」と「目的地」をしっかり見極め、明確なアプローチを取る時が来ています。