Vicorの高電力モジュールが実現する巨大望遠鏡の未来

宇宙の神秘を解き明かす技術

近年、天文学の分野で進化を遂げているのが、深宇宙探査を可能にする巨大望遠鏡です。その中でも特に目を引くのが、Microgate社が手掛ける超大型望遠鏡です。彼らはヨーロッパ南天天文台（ESO）と連携し、補償光学システムの最前線で活躍しています。このシステムのコアとなるのが、Vicor社の高電力密度DC-DCモジュールです。

補償光学ミラーの役割とは

超大型望遠鏡を通じて捉えられる宇宙の光は、必ずしも鮮明ではありません。なぜなら、大気による揺らぎが原因で、波面収差が発生するからです。Microgate社の補償光学システムでは、主鏡によって捉えた光が副鏡であるアダプティブミラーに反射され、このミラーが物理的に形状を変えることで、平らな波面の復元を行います。これにより、より多くの光を集め、高解像度の画像が生成されるのです。

Vicorの技術が支える安定性

この精緻な動作を可能にするのが、VicorのDCM3623シリーズです。この電源モジュールは、非常に高い電力密度を誇り、限られたスペースでも効率的に使用されます。Microgate社のハードウェアエンジニアであるゲラルド・アンゲラ氏は「我々が使っているこの小型電源コンバータは、信頼性が高く、スペースもほとんど取らない」と、その性能を評価しています。

巨大望遠鏡ELTの特長

ESOが現在開発中の超大型望遠鏡ELT（Extremely Large Telescope）は、直径39メートルを誇り、新たな銀河や恒星、惑星の探査に向けて設計されています。この望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡の約23倍のサイズを持つため、より多くの光子をキャッチし、様々な現象を観察することが可能です。複数の画期的な発見が期待されています。