開閉式膜屋根で進化するスザンヌランランコート
フランス・パリの名門テニス競技場、スタッド・ローラン・ギャロスにある「スザンヌランランコート」が、太陽工業株式会社の手によって新たな装いを得ました。日本の企業が手掛けるこのプロジェクトでは、国際的なスポーツイベントにふさわしい、開閉式の膜屋根が設置され、雨天でも安心して利用できる全天候型コートが実現しました。
このコートは1994年に完成し、収容人数は1万人。センターコートに次ぎ、スタッド・ローラン・ギャロス内で二番目の規模を誇る。特に2024年の全仏オープンでその利便性が試されます。開閉式の屋根によって、天候に左右されることなく試合を行うことができるため、選手や観客にとっても嬉しい環境が提供されます。
スザンヌ・ランランの名を冠したテニスの場所
このコートは、テニスを発展させてきた伝説的な女性、スザンヌ・ランランの名前が冠されています。彼女の功績を称える意味も込められており、開閉式屋根のデザインには1930年代のファッションと彼女が愛したプリーツスカートのスタイルが反映されています。この設計により、既存の構造に見事に調和し、軽やかで柔らかい印象の膜屋根が完成したのです。
技術の粋を集めた施工計画
このプロジェクトは、フランステニス連盟とオリンピック施設建設公社(SOLIDEO)のもと、色々な専門家や企業と連携して進められました。設計を手がけたのは著名な建築家ドミニク・ペラール。彼のデザインは、機能性と美しさを兼ね備え、多くのテニスファンや選手の期待が寄せられています。
屋根の開閉システムは電動ウィンチによるレールスライド式で、屋根の開閉にかかる時間はわずか15分。これにより、試合の進行を妨げることなく、しっかりとした機能性が保証されます。施工期間は2020年から2024年の予定で、既に膜屋根の設計と製造が行われている段階です。
太陽工業株式会社の挑戦
太陽工業は、このプロジェクトにおいて膜屋根とケーブルの設計から施工までを手がけています。屋根の面積は4600㎡、使用される屋根素材はSefar Tenara 4T40で、21枚の膜パネルが組み合わされています。この技術は、経済性や施工性、デザイン性を考慮し、同社が得意とする大型膜面構造物の特性を十分に引き出すものです。
社会への寄与と未来への展望
太陽工業は「膜の無限の可能性を引き出し、お客様に感動と快適な環境をお届けします」という理念のもと、様々なプロジェクトに取り組んでいます。このような最先端の技術が、世界中のスポーツイベントや社会の安全・安心を支える役割を果たすことに期待が高まります。
「スザンヌランランコート」は全仏オープンという国際的な舞台で新たな歴史を刻んでいくことでしょう。これからの進化は、スポーツファンだけでなく、広く多くの人々の目を引くに違いありません。