フルタイムで働く女性たちが直面する仕事と育児・介護の現実
日本では多くの女性がフルタイムで働きながら、育児や介護と向き合っています。株式会社Colorkrewが実施した調査によると、実に3割以上の女性が「仕事と育児・介護の両立がうまくいっていない」と感じていることが明らかになりました。
調査概要
この調査は2025年9月12日から9月16日の間に行われ、1,007人のフルタイムで働く女性を対象にしています。育児や介護の経験がある方々を対象にした結果、制度が整いつつある今でも、実際には「利用しにくい」と感じている場面が多いことが浮き彫りになりました。
両立の困難さ
調査結果では、全体の約32.4%が「仕事と育児・介護の両立がうまくいっていない」と回答しています。この数値は、多くの女性が育児・介護と仕事の両立に困難を感じていることを示しています。特に「全くうまくいっていない」との回答もあり、制度や職場環境の整備が不足している可能性が考えられます。
各回答者からは、「家事や育児・介護の負荷」が71.5%と最も多く、次いで「通勤・出社の負担54.9%」や「スケジュール調整の煩雑さ51.2%」が挙げられています。家庭内の負担が一番の要因であり、これは制度や働き方の柔軟性だけでは解決が難しい一面があります。さらに、交通手段やスケジュール調整の面でも多くの苦労があることが明らかになりました。
制度の存在とその実態
育児・介護支援の制度についても質問が行われました。回答者の中で7割以上が「制度があるが利用しづらい」と感じていることが分かりました。具体的には、短時間勤務制度や休暇制度の拡充、フレックスタイム制度の導入がされているものの、それが実績を伴っていない場合も多いとされています。特に「フレックスタイム制度」は導入されているものの、実際には利用されていないケースも見られ、制度の認知向上が求められています。
誰もが利用を希望する短時間勤務制度やフレックスタイム制度でさえ、「使いにくい」「申し出しづらい」と思う人が多いと報告されています。このように制度の存在だけでは不十分で、文化的なハードルが高いことも背景にあるのです。
名もなき仕事の影響
また、日々の業務に影響を及ぼす「名もなき仕事」も注目されます。多くの女性が負担に感じている仕事として、ごみ捨てやオフィス環境整備、社内メールの取り次ぎなどが挙がり、それらを減らすことが生産性向上につながることが期待されています。実際に「名もなき仕事を削減した場合の変化」として、45.3%が「ストレスが減る」と回答しています。このことからも、心理的な負担を軽減し、業務効率を向上させるための新たな仕組みが非常に重要です。
働き方の見直しとその必要性
興味深い点として、約6割の回答者が「出社した際に、在宅でもできる業務があった」と感じた経験があると答えています。これにより、在宅勤務の拡充や業務の見直しを進めることで、働き方改革が実現できる可能性が示唆されます。特に、業務の選別やIT環境の整備によって、より柔軟な働き方を推進するチャンスが高まると言えるでしょう。
まとめ
この調査から明らかになったことは、制度の整備だけでは不十分で、「使いやすさ」と「名もなき仕事の削減」が両立支援の鍵となるということです。特に、日々の業務を軽減し、心理的・時間的な余裕を生み出すためのツールや制度の導入が、今後ますます重要な役割を果たすであろうと期待されます。企業側には、制度の整備だけでなく、働きやすい環境作りや文化の醸成が求められています。柔軟な働き方の推進が、女性のワークライフバランスを改善し、全体の生産性向上にも寄与すると考えられます。