AI時代のエンジニア育成サービス『amoibe OJT』に注目
株式会社ジェネシア・ベンチャーズが、AI人材育成を目的とした株式会社amoibeへのリード出資を決定しました。この投資は、急速に進化するIT技術に対応するためのもので、特にシステム開発の現場で必要とされる能力を養成する新たなサービスを誕生させています。
背景にある課題
日本のシステム開発市場は、近年約9兆円の規模を記録していますが、その主要なプレイヤーであるSIer(システムインテグレーター)は、アジャイル開発や生成系AIといった新しいテクノロジーに対して十分に応じられていないという指摘があります。特に、生成系AIはプログラミング業務に、新しい変革をもたらしています。これに伴い、エンジニアには従来の技術スキルだけでなく、要件定義や概要設計などの上流工程の能力が求められています。
その中で、AIを活用した開発支援ツールが登場し、企業のエンジニアが再定義されています。たとえば、3年で企業価値が1.4兆円を超えた『Cursor』や『Devin』の例が挙げられます。国際的大手IT企業であるマイクロソフトとセールスフォースの人員削減や採用停止も、エンジニアの職業に変化をもたらしています。
特に日本のIT業界では「高度IT人材の不足」と「従来型IT人材の余剰」、この二つの矛盾した問題が同時進行しています。SIerのエンジニアは、状況に応じて業務をAIに代替されるリスクが高まっており、リスキリングは避けて通れない課題となっています。加えて、AIの普及により、これまでの日本特有の多重下請け構造や外注型開発体制にも変化が求められるでしょう。
amoibeのサービス内容
『amoibe OJT』は、法人向けのエンジニア育成プログラムを提供しています。このサービスでは、実業務の工程や技術を仮想環境で再現し、AIとヒューマンのメンターによるサポートを通じて、実務に近い形でスキルを習得することができます。
2024年のリリース以降、大手SIerやSES(エンジニアリングサービス)、派遣会社などで急速に取り入れられており、多くの事例が高いROI(投資対効果)を示しています。受講者は、単価が向上し、待機の解消やリスキリングの成功を経験しています。
今後の展望
調達した資金は、OJT事業の基盤強化に活用される予定です。amoibeは、AI/LLM(大規模言語モデル)を活用した教育コースの提供を進めており、AI時代にふさわしい人材育成の構築に向けて力を入れています。
「AI時代のエンジニア育成構想」を設立し、コースの要件を再構築することで、エンジニアが未来に向けて変化に適応できるスキルを持つよう支援していく姿勢を示しています。これにより、企業やエンジニア個人の双方にとって非常に価値の高い選択肢となっています。
エンジニア育成の新しい時代
ジェネシア・ベンチャーズのInvestment Manager、黒崎直樹氏は、エンジニアの働き方やシステム開発の方法は生成系AIの登場により変わるべきだと述べています。amoibeはこの新たな時代のニーズに応じたリスキリング環境を提供し、エンジニアが輝きを失わない未来の構築を目指しています。
新條隼人CEOのリーダーシップのもと、amoibeは「未来への変化適応を支援する」というビジョンを実現すべく、革新的なサービス展開に取り組む姿勢をさらに強化していくことでしょう。エンジニア業界の改変を支えるこの新しい挑戦の進展に注目が集まります。