奥鎌倉で見つけた遊牧民のアート「祈りのかたち」展の魅力

「祈りのかたち」展が紹介する遊牧民のアートの世界

鎌倉市にある古美術ギャラリー、Quadrivium Ostiumで「祈りのかたち」と題した特別展が開催中です。この展示は、キリムや部族絨毯の魅力を広める活動に情熱を注ぐ酒井忠宣氏のコレクションが中心となっています。展覧会では、19世紀のオールド・キリムなど、100年以上前に作られた貴重な品々が出品されています。

キリムの歴史と役割

キリムは、トルコやイランといった地域に住む遊牧民族によって製作されてきた伝統的な平織りの毛織物です。遊牧生活に欠かせないアイテムとして、敷物や間仕切り、さらには情報を持ち運ぶための収納袋としても使用されてきました。そのため、キリムは機能的であるだけでなく、独自のデザインによって、家庭内装飾の一環としても用いられています。こうした背景を持つキリムですが、特に独特な文様は自然のモチーフを生かした美しさで、多くの人々を魅了しています。

酒井忠宣氏のコレクション

この展覧会の特徴とも言える酒井忠宣氏のコレクションは、オールド・キリムだけでなく、部族絨毯も含んでいます。たとえば、コーカサス南部に住むシャーサバン族の作ったマフラッシュパネルや、トルクメニスタンのヤムートトルクメン族によるテントラグなど、各地域の特徴を反映した素晴らしい作品が揃っています。

展覧会では、これらの作品が持つ背景に注目し、人々の祈りや文化とも深く関係していることを学ぶことができます。酒井氏自身も、自身の信念として「キリムにはパワーがある」と語り、遊牧民の誇りが作品に織り込まれている点を強調しています。

展覧会の詳細と体験

「祈りのかたち」展は、2023年10月26日から11月7日まで開催されており、営業時間は毎日11:00から17:00までですが、水曜日は休業です。特に注目したいのは、10月28日と11月4日に行われるトークショー。酒井氏自らが在廊し、キリムの魅力やその背景について直接語ってくれる貴重な機会です。先着順で参加できるので、興味がある方はぜひ訪れてみてください。

会場は、鎌倉市浄明寺に位置するQuadrivium Ostium。美術館のような贅沢な空間の中、古美術のコレクションを楽しむことができ、さらに酒井氏の作品以外にも興味深いフィーチャーが盛りだくさんです。

支えられる地域文化

この展示は、地域の古美術に触れ合うことのできる貴重な機会です。古美術やアートに触れることで、私たちが世界の文化にどのような影響を受けているのか、またそこから何を学ぶことができるのかを再考するきっかけとなります。現代社会において、過去の人々の思いや文化を理解し、次世代に伝えていくことは極めて重要です。このような展覧会を通じて、ぜひそれを感じてみてください。