全国1万人が語る新しい性教育の形とは
「まだ早い」と言われがちな性教育。しかし、全国の中高生が実際にコンドームに触れて学ぶ授業を受け、その実態を明らかにした書籍『びわこん・レポート』が、2026年春に刊行されます。このプロジェクトは、滋賀県の公立高校でスタートし、これまでに81校で実施され、1万人以上の中高生が参加するという成果を上げています。
本書の特徴
『びわこん・レポート』は、中高生2,551名の自由記述によるアンケート結果をほぼ網羅しており、生徒自身の声が積極的に反映されています。中学1年生の59%が「小学校低学年から中学1年生」の学年で性教育を学ぶことが適当だと考え、逆に高校3年生では76%が初めてコンドームに触れたと回答しています。ここから、早さについての疑問が示される一方で、生徒たちは自分たちの経験を通じて新たな視点を得ていることが明らかになっています。
教育の新しい在り方
本書は単なるコンドームの解説書ではなく、生徒たちが実際に何を感じたのか、そのプロセスを詳細に記録しています。触れたことで生じた戸惑いや安堵、さらには感情の変化を生徒の言葉で描写することにより、読者は彼らの学びの過程を一緒に体験することができます。
しかし、AIやデジタル環境が当たり前となる現代において、「他者との関係性の中で考える力」は失われつつあります。情報過多や孤立化の中、身体を通じた学びからどのように当事者意識が生まれるのか、本書はその具体例を示しています。知識をただ得るだけでなく、他者と共に判断を下し、体験することが今後の教育において必要不可欠だというメッセージが込められています。
プロジェクトの背景
このプロジェクトを立ち上げたのは、元公立高校教員の清水美春氏。彼は、JICAの協力隊としてケニアでエイズ対策に従事した経験を持っています。クラウドファンディングを通じて集まった資金により、多くの教材が制作され、全国の学校に届けられました。この教材『びわこんどーむ』は、コンドームに触れることで生徒たちがそれを学んでいくための重要な材料です。
授業中、生徒たちがペアでコンドームを装着し、素材や耐久性を観察します。体験を重視することで多様な感情が生まれてくるのです。このプロジェクトは、性教育に積極的に取り組むことで、若者たちが自分の判断を形成する手助けを目指しています。
読者へのメッセージ
『びわこん・レポート』は、教育に関わる方々や保護者、そして性教育に関心が薄かった大人たちにとっても、自らの教育観を見つめ直す機会を提供します。性教育が軽視されがちな現代において、この書籍が新たな議論を促すことを願っています。
本書の詳細
- - 書名: びわこん・レポート―中高生が〈触れて〉学んだ関係性の授業
- - 著者: びわこんどーむプロジェクト代表
- - 発行: ゆまに書房(大修館書店グループ)
- - 発売日: 2026年5月頃予定
新たな形の性教育がどのように生徒たちの意識を変え、彼らの未来をどう彩るのか、ぜひ多くの人に手に取ってほしい一冊です。