一村産業株式会社とテイラーの協業
一村産業株式会社は、東レグループの中核商社として、繊維や住宅資材といった多岐にわたる事業を展開し、130年以上の歴史を誇ります。この度、テイラー株式会社が提供する次世代ERPシステムを導入することを発表しました。テイラーは米国カリフォルニア州に本社を構える企業で、近年では特にカスタマイズ可能な業務ソフトウェアの開発に注力しています。
一村産業は、これまでオンプレミス版SAPを用いたシステムを運用してきましたが、事業範囲の拡大とともに部門ごとの業務要件が複雑化し、既存のシステムでは十分に対応できなくなりました。特に、異なる業種ながら共通のプラットフォームでの管理の難しさや、高額なコストが発生するシステム改修などが大きな課題として浮き彫りになっていました。
採用の理由
一村産業は、これらの課題を解決するためにテイラーのERPを選定しました。その理由は以下の通りです。
1.
Headless ERPの採用: テイラーのシステムはAPIベースで柔軟なモジュール構成が可能で、各事業部門の特性に適したカスタマイズが容易です。
2.
ハイブリッド構成の実現: 会計業務は一般的なパッケージソフトを使用しつつ、販売管理にはテイラーの専用モジュールを導入することで、競争力を強化する計画です。
3.
将来性の確保: 導入に際しては、AIや新たなSaaSとの連携を見据えた拡張性のあるシステムを構築します。
導入スケジュール
プロジェクトは要件定義から約3年間を計画しており、最終的な導入は2026年春を予定しています。利用範囲も広がっており、経営陣や全社員を含む様々な部門がシステムを活用することで、業務効率が大幅に改善する見込みです。具体的には、繊維事業部門と住宅資材事業部門の販売管理業務に加え、会計システムやビジネスインテリジェンス(BI)、SFA/CRMとの統合も行われます。
今後のビジョン
今後、一村産業はテイラーのERPを基盤に、AI機能の活用や受注の自動化を進め、市場での競争力をさらに強化する計画です。AI-OCRを用いた受注処理の省力化や、取引先向けインターフェイスの導入により、顧客満足度の向上も期待されます。システム部次長の辻村昌之氏も、「従来のシステムでは互いの強みを生かせていなかったが、次世代のERPにより個々の特性を活かしつつ、フレキシブルな運営を実現したい」との考えを示しています。
Tailor Technologies, Inc.について
テイラーは、企業向けに迅速かつ効果的な業務ソフトウェアを開発するプラットフォームを提供しており、特にカスタマイズ可能なシステムを通じて、企業の成長を支援することを目指しています。設立以来その成果を上げており、2022年には世界的なスタートアップアクセラレータプログラム「Yコンビネーター」にも参加しています。
一村産業の新たな取り組みは、業界内外の注目を集めており、テイラーのERPがもたらす新たなビジネスの可能性が期待されます。