阪神・淡路大震災から学びを次世代へ
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から、2025年で30年が経とうとしています。この記念すべき年に、兵庫県立舞子高等学校環境防災科では、震災の教訓を伝え、次世代の防災リーダーを育成するための取り組みが行われています。今回、当校の鈴木あかね先生、小寺真穂先生、そして生徒たちからその活動についてお話を伺いました。
防災リーダーを育成する教育
舞子高等学校環境防災科は、震災の経験を基にして2002年に設立された、日本で初めての防災専門学科です。教育課程の約3分の1が環境や防災に関する専門科目で構成されており、外部の専門家を招いた授業や地域活動が盛んに行われています。生徒は自主的に地域交流やボランティアに参加し、多様な人と協働して学ぶ機会を得ています。
具体的な学びとしては、避難所運営の実際や備蓄食品の栄養管理、高校内での防災授業の実施などがあり、実践的な知識と技術を身につけています。このように、舞子高校の生徒たちは、震災時の実際の課題を解決するための視点を持つことが期待されています。
生徒の防災への思い
山内皓成さんの目標
環境防災科に参加した山内皓成さんは、阪神・淡路大震災の教訓を伝えることが自分の使命だと感じています。具体的には、卒業制作で非常食のアレンジレシピを考案するなど、実践的な活動を通じて防災の重要性を広めています。彼は将来、管理栄養士として被災地での活動を希望しており、その姿勢は防災を自らの専門領域として捉えています。
寺川侑那さんの想い
寺川侑那さんは、震災のことを知らなかったが、防災教育を受けることで自分事として考えるようになったと語ります。特に神戸の長田を訪れた経験から、震災がもたらした影響を直に感じ、無関心ではなくなったと実感しています。彼女は、震災を経験していない世代の高校生として、当時の記憶を風化させないことの重要性を強調します。
川中蒼空さんのボランティア経験
川中蒼空さんは、ある西日本の地震に際して、ボランティア活動に参加しました。「生き延びるためだけでなく、未来に希望を持てるような活動をしたい」と語る彼の姿勢は、彼自身の将来の夢である救急救命士を目指す上で貴重な経験となっています。このような取り組みを通じ、彼は防災教育の重要性を若い世代に伝えようとしています。
教員からの評価
教員たちは、「防災を自分事として捉える」ことの重要性を生徒たちに伝えることに力を入れています。生徒たちは今、震災から30年を経たいま学んできたことを未来に繋げたいという強い気持ちを持っており、周囲にもその思いを伝えています。防災教育は特別なものではなく、各地域でも取り組める基本的な学習であると教員は考えています。
まとめ
舞子高校環境防災科の取り組みは、単なる知識の習得に留まらず、防災を自らの問題と捉え、実践的な行動に移せる人材の育成を目指しています。阪神・淡路大震災から得られた教訓は、次世代に繋がる重要なメッセージです。今後も彼らの活動が、より多くの人々に防災意識を浸透させることに期待が寄せられています。