新刊『WORKSIGHT 28号 山の寄り合い』の全貌
2023年8月27日、コクヨのオウンドメディア『WORKSIGHT』から新刊『WORKSIGHT 28号 山の寄り合い Yoriai On The Hill』が出版される。これまでの民主主義や資本主義について再考するための新たな視点を提供するこの号は、日本の民俗と歴史にまつわる興味深い内容が盛り込まれている。
寄り合い:もうひとつの民主主義
この号は、栃木県さくら市の小高い山で行われた1泊2日の合宿の成果に基づいている。合宿には多様なバックグラウンドを持つ専門家たちが参加し、現代における「集まり方」や「議論の仕方」について意見を交わした。ここでのキーワードは「寄り合い」で、これは不世出の民俗学者・宮本常一が提唱した「村の寄りあい」にインスパイアされたものだ。
集まった仲間たち
合宿には潮流の異なる参加者たちが集った。参加者には、文化人類学者や編集者、写真家など、専門の異なる人士が名を連ねており、その専門知識や経験が討論をより深いものにした。例えば、読書会では思想史学者の前田勉が講師を務め、江戸時代の読書の意義について議論が行われた。また、沖縄の伝統的な金銭コミュニティである「模合」を取り上げた講議では、参加者たちの理解が深まった。
民俗学から学ぶ
この号の中で取り上げられる民俗は、特に日本の自然災害と深く結びついている。畑中章宏の講義では、「鯰絵」が自然災害に対する庶民の受け止め方を象徴するものとして紹介された。江戸時代には、鯰を使ったユーモラスな表現を通じて、人びとがどのように災害に向き合ったのかが語られた。
また、工藤沙希の講座では、干支にまつわる地域の慣習と、それが人々をどのように結び付けるかについても考察されている。干支観念の円環的な時間認識は、個々の生活背景が多様化する現代社会において、新たな結びつきの形を提供するかもしれない。
特別編集の背景
興味深いのは、この号が大阪・関西万博でのオランダ文化プログラムとのコラボレーションによって生まれた特別編集号であることだ。異なる文化と価値観の交流から、新しい視座が見えてくることが期待されている。
結びに
『WORKSIGHT 28号 山の寄り合い』は、ただの情報発信に留まらず、参加者たちの寄り合いを通じて生まれた深い議論や思索を記録したものでもある。これからの時代における人間関係やコミュニティの形成において、重要なヒントが詰まっているこの号を、ぜひ手に取ってみてほしい。これからの民主主義や社会の在り方を考える上で、読者にとって貴重な一冊となることは間違いない。