島精機製作所、キャディのAIデータプラットフォームを導入
製造業のデジタル化が進む中、株式会社島精機製作所がキャディ株式会社が提供する製造業AIデータプラットフォーム「CADDi」を導入しました。この取り組みは、材料調達のプロセスを改革し、製品仕様の見直しを進めることで、国際競争力を高めることを目的としています。
1. 課題と市場環境の変化
島精機製作所は1962年に創業し、ニット製造機器に特化した企業として成長を遂げました。近年、ファッション業界は品質重視からコスト重視へとシフトしており、これは競争環境を厳しくしています。特に、主力の編み機市場では、中国企業の参入により価格競争が激化しています。このような中で、島精機は顧客ニーズに応えるべく製品仕様を見直す必要がありました。この過程で、過去の部品データの調査や類似図面の比較が多くの時間を要するため、効率的なコスト分析や戦略的調達が困難でした。
2. CADDiの導入決定
これらの課題を克服するため、島精機製作所は中期経営計画「Ever Onward 2026」を制定。価格競争だけでなく、自社の強みを最大限に活かす製品開発を推進することを決定しました。その手段として、CADDiを導入し、製造業データ活用クラウド「CADDi Drawer」や製造業AI見積クラウド「CADDi Quote」を利用する方針を選びました。この選択により、品質基準の確認やコスト構造の透明化を図り、調達先とのコミュニケーションを円滑に進め、製品仕様の見直しを迅速化します。
3. 調達業務デジタル化の期待
島精機製作所の資材部課長である田村彰智氏は「CADDiのソリューションを活用することで、調達業務のデジタル化が進み、これまで時間を要していた価格交渉や仕入れ先の選定が迅速に行えるようになると期待しています」と述べています。今後、調達の意思決定を迅速化し、国際競争力の強化、さらには市場シェアの拡大を目指しています。
4. CADDiとは
製造業AIデータプラットフォームCADDiは、製造業のエンジニアリングチェーンやサプライチェーン上のデータを解析し、インサイトを抽出することで、製造活動と意思決定を高度化するプロダクトです。部品調達事業での蓄積した経験とAI技術を活用し、競争力を高めることを目指しています。キャディ株式会社は、製造業のポテンシャルを解放することをミッションとして掲げ、軌道に乗るステップとして様々なアプリケーションを提供していく計画です。
5. 日本を超えた普及
キャディの事業は日本国内にとどまらず、アメリカ、ベトナム、タイなども含めて展開されています。国際的に製造業の変革を実現するために、さらなる技術革新を追求しています。また、累計エクイティ資金調達額は257.3億円に達し、未来の製造業に強力な影響を与えるスタートアップとして注目を集めています。
結論
製造業のデジタル変革が求められるこの時代において、島精機製作所がCADDiを導入することは、その成長戦略の一環として非常に重要なステップです。これにより、円滑な調達プロセスの実現と市場競争力の向上が期待されており、製造業全体の進化に寄与することでしょう。