大野修の個展「Bug-Fi」について
2025年9月3日(水)から9月27日(土)まで、東京の西麻布にあるオルタナティヴ・スペース「WALL_alternative」にて、大野修による2年ぶりの個展「Bug-Fi」が開催されます。本展では、音楽カルチャーに根ざした新作を含む47点の作品が展示・販売される予定です。特徴的なのは、等身大の人体彫刻や3メートルを超える立体作品が含まれることです。
大野は、日常的な素材を駆使し、内面から湧き起こる「衝動」を創作の原動力として、柔軟で力強い彫刻を生み出してきました。特に注目されるのが、「ブリコラージュ」という手法を取り入れた作品制作です。これは、プラスチックや使えなくなった楽器など、身近な素材を組み合わせて形を作る工程を指します。この展覧会では、「三角錐」という記号をテーマに、最小単位としての立体が持つ物語性を強調します。
展示される作品
本展では、大野の代表的な作品である《Chunk》シリーズが展示されます。このシリーズでは、無数の形が折り重なり、複雑に絡み合った彫刻が特徴です。また、40点以上の新作も制作されており、昨年発表された新シリーズ《Cover》も見ることができます。これらの作品は、「バグ」のような不具合をテーマにし、視覚と音の融合を通して観客に特別な体験を提供します。
加えて、今回の個展では特別なサウンドアート作品が発表されます。これは音楽家・梅原徹と共に制作したもので、1990年代のオルタナティブロックシーンの影響を色濃く受けています。フィールドレコーディングをベースにした音源が、会場内でのインスタレーションとして体験できることが特徴です。
オープニングとイベント
オープニングレセプションは初日の9月3日(水)に行われ、アーティスト自身も在廊予定です(事前申込みが必要です)。さらに、9月13日(土)にはトークイベントが予定されており、大野と梅原によるブリコラージュした楽器を使った特別演奏も行われます。
美味しい食体験も
本展では、福岡県のワイナリーとのコラボレーションによる特別メニューも提供される併設バーが登場。福岡県産の新鮮な食材を使用した料理が楽しめるなど、アートだけでなく、贅沢な食体験も味わえます。
「Bug-Fi」の意味
展覧会タイトルの「Bug-Fi」は、音響機器の再現性を表す用語「Hi-Fi」や「Low-Fi」から派生したものです。「Bug」はコンピューターの欠陥や不具合を指し、展示作品における素材のミスマッチや「おかしみ」を強調しています。このようなテーマが、大野の作品の core にあり、彼がどう転んでも楽しめるという思想で思考しています。
大野修のプロフィール
大野修は1981年に福岡で生まれ、九州産業大学で彫刻表現を学びました。東京藝術大学の大学院を修了し、アカデミックな要素と音楽からの影響を融合させた作品を手がけています。特に、ブリコラージュ手法を取り入れることで、時間を経た素材の美しさを探求し続けています。彼の作品は、過去の破壊と再生をテーマにしたものが多く、「虫(Bug)」のモチーフも頻繁に登場します。
この新しい展示会「Bug-Fi」では、音と視覚が融合した新しい体験が待っていますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。アートと音楽、そして美食に囲まれた特別な時間が、あなたを待っています。