飲酒行動の新たな検知技術
株式会社テックドクターは、相模原市で開催された第32回日本行動医学会学術総会にて、ウェアラブルデバイスを用いた飲酒検知技術の研究成果を発表しました。この研究は、飲酒の多変量予測モデルの開発とアルコール摂取が日常生活に与える影響を評価することを目的としています。特に、自社の研究チームが開発した技術では、飲酒の有無を約90%の精度で識別できる可能性が示されています。
研究の背景
これまで、飲酒のデータは主に自己申告によって得られてきましたが、記憶の偏りや社会的なバイアスが影響するため、この方法には限界があります。そのため、テックドクターはウェアラブルデバイスを活用し、心拍や睡眠、活動量などの客観的データを基に、アルコール摂取を自動的に検知する新たなアプローチを追求しました。
研究概要
本研究は2022年5月から2024年9月にかけて行われ、20歳以上の同意を得た21名の被験者を対象に実施されました。以下は、評価のために使用された主要な指標です。
- - 前日の飲酒の有無
- - 飲酒量(なし、1〜2単位、3〜4単位、5単位以上)
データの解析には機械学習モデル(XGBoost)を使用し、ウェアラブルデバイスから得たデータを用いて飲酒の有無を予測しました。
また、性別や年代による識別精度の違いや、飲酒後の睡眠指標にも注目し、飲酒が日常生活に与える影響を解析しました。
研究の成果
本研究の結果、ウェアラブルデバイスからの生体データを使用して飲酒の識別ができることが確認され、高い精度(AUC 0.92、約90%)が得られました。特に、睡眠中の心拍数の変化や非歩行時の心拍上昇が、飲酒識別において重要な指標として挙げられています。しかし、性別や年代、飲酒量によって精度が上下することも判明しており、さらなる改善が求められています。
社会的な意義と未来の展望
この研究から得られた知見は、一般消費者向けウェアラブルデバイスを使用してアルコール摂取を客観的に測定する道を開くものとして評価されています。この技術により、飲酒による健康リスクを予測、早期に把握し、個別化されたヘルスケア支援が可能となると期待されています。
今後は、多様な利用者が安全に活用できる技術として進化させるため、さらなるデータ収集やアルゴリズムの改良を計画しています。
テックドクターは、このテーマに共感し、研究の発展に協力できる研究者や開発パートナーを広く募集しています。なお、開発した技術は特許申請中であり、今後の展開が非常に楽しみです。