紛争下の子どもの危機
2024-07-02 17:53:34

紛争下の子どもの権利侵害、過去最多 ガザ、スーダンなどで深刻化

紛争下の子どもの権利侵害、過去最多 ガザ、スーダンなどで深刻化



ユニセフ(国連児童基金)は、2023年に確認された子どもの権利侵害が過去最多となり、ガザ地区やスーダンなど、世界各地で深刻化していることを報告しました。

ユニセフ事務局次長のテッド・チャイバン氏は、国連安全保障理事会の「子どもと武力紛争」に関する公開討論会で、2023年に確認された子どもの権利侵害は3万2,990件にのぼり、過去最悪の年だった2022年を21%上回ったと発表しました。

この数字は、殺害、負傷、性的暴力、人道支援の妨害など、子どもたちが直面している深刻な状況を表しています。チャイバン氏は、特にガザ地区、スーダン、コンゴ民主共和国における状況について懸念を表明しました。

# ガザ地区:深刻化する暴力と人道支援の危機



イスラエルとパレスチナの紛争が激化する中、ガザ地区では、子どもたちが凄惨な暴力にさらされています。2023年には、4,312人のパレスチナの子どもと70人のイスラエルの子どもが死傷したと確認されています。ほとんどが人口密集地での爆発性兵器によるものです。

さらに、2023年中に報告された子どもの死傷件数のうち、2万3,000件以上はまだ確認されていません。治安の悪さ、移動の制限、人道支援従事者に対する危険があるためです。

ユニセフをはじめとする人道支援団体は、ガザへの搬入とガザ全域への配布を安全に行うことに苦闘しており、子どもたちの栄養状態は悪化しています。

# スーダン:世界最大の子ども避難民危機



1年以上続くスーダンの戦争によって、推定460万人の子どもが国内外に逃れており、深刻な権利侵害が激増しています。2023年には、紛争当事者によって1,244人の子どもが殺傷されたと確認されており、今年に入ってからも権利侵害は広がっています。

特にダルフールのエル・ファシールでは、何千人もの子どもが戦闘や無差別爆撃にさらされています。5月に入ってから、400人以上の子どもが死亡または負傷したとされています。

# コンゴ民主共和国:性暴力の深刻化



コンゴ民主共和国の東部では紛争が激化し、700万人が家を追われています。2023年には、女の子に対する性暴力行為が281件確認されました。武装集団は性暴力を使って恐怖を植え付け、支配を維持しています。

チャイバン氏は、最近コンゴ民主共和国を訪問した際に、村が襲撃され、家族と離れ離れになった子どもたちに会ったと語りました。その中には、性暴力を経験した後、3人の妹や弟と一緒に避難した16歳のフローレンスさんも含まれていました。

# ユニセフの行動と国際社会への呼びかけ



ユニセフは、紛争当事者に対し、子どもたちを保護する義務を果たすよう強く求めています。また、国際社会に対し、紛争下の子どもたちを支援するために、以下の4つの行動を取るよう呼びかけています。

1. 「子どもと武力紛争」関連の任務、監視・報告メカニズム、国連事務総長特別代表事務所の拡充に対する確固たる支持
2. 紛争の終結に向けた外交努力の強化
3. 人道的空間の確保
4. 子どもたちへの支援と保護活動のための十分な資金

ユニセフは、紛争下の子どもたちのために、国際社会が行動を起こすことを強く訴えています。


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