サーモン選びの意識調査とクリーンサーモンの台頭
最近、消費者の間で注目を集めているのが「クリーンサーモン」だ。このほど行われた全国調査で、1,035名を対象にサーモンに対する意識を調査したところ、多くの生活者が品質を重視する傾向にあることが判明した。
調査結果の概要
本調査では、消費者が求めるサーモンの条件に関していくつかの特徴が浮き彫りとなった。円安や物価高にもかかわらず、58.2%の参加者が「多少高くても国産品を重視して選ぶ」と回答。さらに51.1%は「栄養価や質の高さを重視」とし、42.2%は「無農薬の安全性を求める」と述べた。メーカーの努力にもかかわらず、依然として消費者は価格以上に品質を求めている。
特に、8割以上が抗生物質不使用で、アニサキスなどの寄生虫も混入していない“クリーンサーモン”を支持していることが明らかになった。半数以上は、現状より高価格でもこのような良質なサーモンを購入したいと思っている。
抗生物質の問題
調査によれば、消費者の78.9%は抗生物質を投与されたサーモンを避けたいと考えているが、71.1%は養殖されたサーモンに抗生物質が使用されることを知らない。このギャップは、消費者が自分の選択肢を見直す契機となるだろう。
また、海面養殖における抗生物質使用の背景には、病気の予防があるため、この現実を理解しない限り、自らの健康を守ることはできない。多くの人がまだ養殖の実態を十分に把握していないという事実も、消費者教育の必要性を示唆している。
アニサキスの恐怖
消費者の頭の中には、アニサキスへの恐怖が根強い。「今後、アニサキスの有無を重視したい」という意見が47.0%に達するなど、この寄生虫の影響は無視できない。実際、価格と並んで「寄生虫の有無」を重視する傾向が見受けられ、食品に対する意識の高まりを感じさせる。
クリーンサーモンのメリット
陸上養殖で育つ「クリーンサーモン」の特長は、そのクリーンな生産環境である。東京海洋大学の遠藤雅人准教授は、閉鎖循環式陸上養殖の可能性について言及。「閉鎖循環式養殖では水質や餌が管理されており、寄生虫や病気のリスクが低い。環境にも配慮されており、持続可能な水産業への貢献が期待される」と述べている。これにより、消費者に安心して提供できる食品が生まれている。
安定した供給と環境保全
また、陸上養殖は海面養殖に比べて安定した供給が期待でき、極端な天候にも影響を受けにくい。そのため、円安や燃油コストの高騰といった外部要因による影響を受けにくく、安定した食の供給が望める。環境への負荷も少なく、持続可能な発展が見込まれるため、今後さらに注目を集めるであろう。
まとめ
消費者のサーモン選びに対する意識は大きく変化しており、品質重視の傾向が強まっている。「クリーンサーモン」として新たに登場したこの商品の背後には、消費者の健康を非常に気にする声が隠れている。この傾向は今後も続くと思われ、メーカーや養殖業者はこのニーズに応える形での製品開発が求められる。