1on1 MTGの重要性と現実
近年、ビジネスシーンで改めて注目される1on1 MTG。これは、上司と部下が1対1で進める面談です。部下の成長支援や不安解消を目的に導入が進んでいますが、はたしてその実効性はどうでしょうか?それを探るため、MENTAGRAPH株式会社が実施した調査結果を基に、上司の“現実”と部下の“理想”に焦点を当て、両者のギャップを探ります。
調査概要と対象
MENTAGRAPH株式会社は、724名のビジネスパーソンに対し、1on1 MTGの運用についてのアンケートを実施しました。対象は管理職300名、非管理職424名。調査はインターネットを通じて行い、部下の期待と上司の実施状況のギャップを分析しました。
理想の頻度と実際の実施
調査の結果、部下が望む1on1 MTGの頻度は「必要に応じて」が最も理想とされていることが明らかになりました。具体的には、部下の20%が「必要に応じて」を希望している一方、上司の実施率はわずか6.3%という結果が出ました。このことから、部下は定期的なミーティングではなく、必要な時に行いたいと考えていることがわかります。
逆に、定例の頻度である「週1回」や「隔週」「月1回」などは、部下の理想を下回っていました。このデータから推測すると、部下はさまざまな課題が発生した際に即座に対話を持ちたいと考えていることが読み取れます。
所要時間の希望と実態
次に、1on1 MTGでの所要時間に関しても不一致が見受けられました。部下の理想では「15分未満」への期待が24.5%を占めていますが、上司の現実では14.0%と、こちらでも10.5ポイントの空白が存在します。一方で、15~30分未満の面談時間を望む部下は44.8%ですが、こちらは上司の現実が53.3%を占め、上司側が長めの面談を好む傾向にあることがわかります。
部下は短時間で集中的な面談を重視しているのに対し、上司は時間をかける傾向があるのです。
次のステップへの期待
1on1 MTGで成果について話し合う際、部下の理想が「次に進めるための設計」を期待することが浮き彫りになりました。この期待値は、上司の「今後の期待値の確認」に対して34.2%対25.3%、さらには「次の目標挑戦の話し合い」においては46.0%対39.3%といった具合に、部下の方が高いことがわかりました。
このことから、部下が望んでいるのは次のアクションに結びつくような具体的なフレームワークであることが伺えます。
課題へのアプローチ
さらに、課題や失敗についてのフィードバックでも、部下は“行動を促す”支援を求める傾向がありました。特に「今後の成長計画を立てる」ことや「解決策を一緒に考える」ことについては、部下の理想がそれぞれ30.9%、51.7%を占め、上司の現実よりも高い期待を持っています。
ギャップの整合性
調査全体を通じて、部下と上司の間には頻度、所要時間、面談内での関わり方において明確なギャップがあることが確認されました。部下は“必要に応じて・短時間・次の行動につながる”面談を望む一方、上司は定期的に時間をかけ、観察や傾聴に留まっている実態が浮き彫りになっています。
したがって、1on1 MTGの運用について両者が認識のすり合わせとアップデートを行う必要があります。これにより、1on1 MTGは「流れ作業」ではなく「前進を生む対話」へと変化し、結果として業務のパフォーマンス向上につながるでしょう。
まとめ
ビジネスパーソンの成長を支えるためには、こうした調査結果を参考にしながら、1on1 MTGのあり方を見直していくことが求められています。上司と部下が本音で交流することで、お互いの期待値をつなげ、新たな成長の機会を見出すことができるはずです。