Spiberが世界のテキスタイル市場に挑戦
2023年、Spiber株式会社がイタリアのミラノで開催された高級テキスタイル見本市「Milano Unica」に初めて出展しました。この展示会は、世界中のデザイナーやブランドバイヤーが集まる重要なイベントであり、Spiberの革新的な植物由来の繊維技術が注目を集めました。
登場する新素材「Brewed Protein™ファイバー」
Spiberが開発した「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)ファイバー」は、植物由来の原料から生まれたプロテイン繊維であり、新たな素材カテゴリーの確立を目指しています。このファイバーは、持続可能な製品制作を志向するファッション業界にとって、非常に大きな可能性を秘めています。
繊維業界との強力なコラボレーション
今回の出展では、愛知県の老舗繊維商社である瀧定名古屋株式会社とのコラボレーションにより、20種類以上のスーツ用織物生地を披露。瀧定名古屋はウールを利用した自社の卓越したテキスタイル開発で知られ、数多くのプレミアムブランドに製品を供給しています。
田中隆一氏は「Brewed Protein™ファイバーの特徴である細かい繊維径が、梳毛との相性を良くし、高級感を醸し出すことができる」とその魅力を語っています。加えて、Brewed Protein™ファイバーが持つユニークな光沢感と質感は、シルクやカシミヤとは異なる特徴を呈し、特に持続可能性が重要視される現在の市場において新たな価値を提供します。
A-GIRL'Sとのイノベーション
また、和歌山県の有名テキスタイルメーカー、株式会社エイガールズと共同で開発した40種類のBrewed Protein™ファイバー混紡生地も展示されました。エイガールズは、卓越した技術で知られ、その製品は多くのバイヤーとデザイナーから注目されています。
山下智広氏は「Brewed Protein™ファイバーは新しい調味料のような素材で、これまでの生地とは一線を画す高機能な製品を可能にします」と語り、素材の革新がもたらす未来の展望について語っています。
環境に優しい未来を目指して
Spiberは2007年に設立され、環境への負荷を軽減するための持続可能な素材開発に取り組んできました。特に、タイに設置したプロテインポリマーの量産プラントは、同社の成長とともに、他の産業への応用を視野に入れているとのこと。
現在、THE NORTH FACEやA-POC ABLE ISSEY MIYAKEなどのブランドでもBrewed Protein™ファイバーが採用されるなど、国内外のメゾンからも高い評価を得ています。
Spiberの今後の目標は、Brewed Protein™ファイバーを通じて持続可能な社会に貢献することです。様々な分野への適用を試みることで、循環型社会の実現に向けた道を切り開くことを目指しています。
まとめ
Spiberの初出展は、プロテイン繊維の新時代の幕開けを予感させるものであり、テキスタイル業界における持続可能な未来への希望を与えるものでした。企業同士のコラボレーションを通じて生まれた新素材は、今後さらに発展することが期待されています。時代の変化に伴い、ファッション業界の在り方も変わっていく中で、Spiberはその先駆者となるべく歩み続けるでしょう。