ジェトロが指導する医療スタートアップの米国進出
日本貿易振興機構(ジェトロ)が、経済産業省の協力のもと、新たな取り組みとして「J-StarX Medical Data Utilization Program」を発表しました。このプログラムに参加する5社の医療スタートアップは、米国での臨床エビデンス創出を目指し、TheraNova LLCと提携して研究計画の策定や臨床データの取得および検証を進めていきます。
プログラムの目的と重要性
医療機器やデジタルヘルス製品が米国市場で成功するためには、FDAの承認を得るためだけでなく、医療保険の適用や医療機関への導入が必要不可欠です。このプロセスでは、製品の安全性や有効性、臨床的な有用性といったエビデンスを構築することが必須です。しかし、日本国内のデータでは米国の患者群や医療環境での有用性を十分には示せないことが多く、ここで現地の医療機関や専門家との連携が重要になってきます。ジェトロは、このプログラムを通じて、スタートアップたちが必要な臨床エビデンスを構築し、医療機関や規制の専門家、投資家とのネットワークを作るサポートを行います。
これまでの取り組みとの違い
従来の取り組みとして、ジェトロはMayo Clinic Platform_Accelerateとの共同で「J-StarX HealthTech Gateway “AI Medical in the US”」を実施し、数百万人の非識別化医療データを活用した環境を提供してきました。このプログラムは、AIモデルの検証や専門家からのメンタリングを通じて米国市場への参入を支援してきました。
今回の新たなプログラムでは、例えば各企業に必要なエビデンスに基づいて研究方法や医療機関を個別に組織する仕組みが整えられています。既存のデータベースを活用するだけでなく、新たに前向き研究や後ろ向き研究にも対応し、その範囲も広範なメドテックやヘルステック分野にまで拡大しています。
採択された企業の紹介
今回、プログラムに採択された企業の中には、以下のような興味深いスタートアップがあります。
- - 株式会社ayumo:歩容解析AIを用いて歩行動画から疾患を推定したり術後評価を行う医療機器を開発。
- - Crane Bio株式会社:女性向けのセルフHPV検査や感染症検査に応用可能な核酸自己検査プラットフォームを開発。
- - 株式会社DELISPECT:高齢者医療における課題解決を目指すせん妄発症予測技術を提供。
- - 株式会社LIFESCAPES:脳波を使ったBCI技術で脳卒中や脊髄損傷の患者の機能回復を支援。
- - 株式会社Splink:認知症領域に特化した医療AIスタートアップとしてサービスを展開。
プログラムの概要
このプログラムは2026年7月から2027年3月までの間に実施され、FDA承認や保険適用を視野に入れたPoC研究や臨床データ取得の支援、KOL(Key Opinion Leader)とのマッチング、さらには資金調達や事業開発における支援も行われます。ジェトロが主催し、米国のTheraNova LLCが提携先として参加します。
まとめ
ジェトロが手がける「J-StarX Medical Data Utilization Program」は、医療スタートアップにとって米国市場進出への大きな一歩となるでしょう。この取り組みにより、選ばれた企業が臨床データを収集することで、彼らの製品開発や事業戦略における重要なマイルストーンを達成することが期待されます。さらに、これが日本の医療技術を国際市場で大きく飛躍させるきっかけとなることを願っています。