7年間の挑戦を終えた「HAKUTO-R」
民間企業としての画期的な挑戦が、さらなる宇宙開発への扉を開いた。株式会社ispaceが2018年より推進してきた月面探査プログラム「HAKUTO-R」が、2025年12月7日にその幕を閉じることが発表された。このプログラムは、全22社のパートナー企業との契約満了をもって終了する形となるが、ispaceの宇宙事業への挑戦はここで終わるものではない。
「HAKUTO-R」の挑戦と成果
「HAKUTO-R」は、単なる月面探査にとどまらず、宇宙における新たな経済圏を築くことを目指してきた。ispaceのビジョン「Expand our planet. Expand our future.」を掲げ、日本を含む世界各国のパートナーと共に宇宙開発の未来を見据え、月面を目指した。特に、これまでの経験から得たデータと知見は、宇宙産業における重要な資産となった。
プログラムのスタート時には、民間企業による月ミッションは誰もが想像し得ない未踏の領域だったが、ispaceは月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目指すことに成功した。実際には、2023年および2025年に行った2度のミッションで、アメリカのSpaceX社のFalcon 9ロケットを利用してランダーを打ち上げ、月周回までの技術をしっかりと確立した。これによって、ispaceは民間企業による宇宙開発の歴史に名を刻むことができたと自負している。
今後の展望
この7年間の旅を経て、民間月ミッションの終焉を迎えるが、ispaceは次のステージへと進む準備を整えている。現在、宇宙産業はますます活発になり、政府の支援も受け、民間事業への期待が高まっている。ispaceは「R&Dフェーズ」を終え、取得した知見を次の商業活動へと繋げていく計画だ。
今後、2027年にはNASAのCLPSプログラムにも参加する米国主導のミッション3を計画している。また、2028年には日本主導の新型ランダーを使用したミッション4に取り組む予定であり、これがさらなる宇宙ビジネスの発展に寄与することを期待している。
代表者からのメッセージ
株式会社ispaceの代表取締役CEO、袴田武史氏は「HAKUTO-Rとして歩んだ7年間で、我々が学び得た知識や経験は、パートナー、株主、そして国民の皆さんと共有した貴重な資産です。人類の未来のために、新たな挑戦を続けていく覚悟です」と述べ、次なる挑戦への意気込みを語った。
オンラインストアとSNS情報
なお、HAKUTO-R関連の商品を扱うオンラインストアは、12月7日にクローズするが、これまでの利用に感謝の意が表されている。また、ispaceの公式SNSアカウントは、12月8日以降に新しいアカウント名に変更し、これからも宇宙開発に関する情報を発信し続ける予定だ。
まとめ
「HAKUTO-R」は、その活動を通じて、新たな宇宙産業の設立に向けて経験値を増やし、次の時代を見据えた挑戦が始まろうとしている。ispaceの次なるステップに多くの期待が寄せられる。今後の進展から目が離せない。