木村化工機、「ACT FOR SKY」に加盟しSAF普及へ貢献
世界的な脱炭素化の流れを受け、航空業界でも持続可能な航空燃料(SAF)の導入が加速しています。しかし、世界のSAF供給量はジェット燃料供給量のわずか0.03%にとどまり、更なる生産拡大が求められています。
木村化工機株式会社は、2023年にSAF原料用バイオエタノールを蒸留する際にCO2排出をゼロにする「省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」を販売開始しました。このたび、国産SAFの商用化と普及拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」に加盟し、同団体と連携してSAFのサプライチェーン構築に貢献していきます。
背景:航空業界の脱炭素化とSAFの必要性
航空業界は、ICAO(国際民間航空機関)やIATA(国際航空運送協会)が2050年までに2005年比で二酸化炭素排出量を半減するという目標を掲げています。この目標達成には、SAFの製造技術開発、生産、利用を加速させる必要があり、2030年には使用燃料の10%をSAFに移行することが求められています。
国土交通省も2030年までに「本邦エアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換える」という目標を掲げていますが、2020年の世界のSAF供給量はジェット燃料供給量のわずか0.03%に留まっており、供給量の増加が急務となっています。
SAF生産における課題と解決策
従来のSAF蒸留プロセスでは、ボイラ蒸気を利用していましたが、大量のCO2を排出するという課題がありました。木村化工機が開発した「省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」は、ボイラ蒸気を必要とせず、電力のみで蒸留を行う画期的な装置です。
ヒートポンプを採用することで、装置から排出される低温レベルの熱を回収し、有効エネルギーとして再利用します。原子力または再生可能エネルギー由来の電力を使用すれば、CO2排出量ゼロでSAF原料を蒸留することができます。
「ACT FOR SKY」について
「ACT FOR SKY」は、持続可能な航空燃料SAFの普及・拡大を目指す、オールジャパンの企業や自治体等からなる有志団体です。国産SAFに直接関与し、サプライチェーン構築の主体となる企業(ACTメンバー)と、サプライチェーン構築に必要な企業や自治体等(SKYメンバー)が加盟しています。
加盟企業・自治体等が協調・連携して行動を起こし、国産SAFの商用化と普及・拡大を推進することで、航空業界の脱炭素化に貢献していきます。
木村化工機について
木村化工機は、資源循環・低環境負荷のエネルギー供給などを通して、製造業の持続可能性・持続可能な社会づくりに貢献する総合エンジニアリング会社です。蒸留・蒸発装置の省エネとCO2排出削減において業界トップクラスの技術力と研究開発力を有しています。
木村化工機の「ACT FOR SKY」加盟は、日本の航空業界における脱炭素化への取り組みを加速させる重要な一歩と言えるでしょう。
同社が開発した「省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」は、SAFの生産におけるCO2排出問題を解決する画期的な技術です。この技術によって、SAFの製造コスト削減と環境負荷軽減が期待され、日本のSAF生産の拡大に大きく貢献する可能性を秘めています。
「ACT FOR SKY」への加盟は、木村化工機が国産SAFの普及拡大に積極的に取り組む姿勢を示すものであり、同社の技術力と「ACT FOR SKY」のネットワークを組み合わせることで、SAFサプライチェーンの構築が加速すると期待されます。
日本の航空業界は、国際的な脱炭素化の潮流の中で、SAFの導入を進める必要に迫られています。木村化工機の技術革新と「ACT FOR SKY」の取り組みが、日本の航空業界の脱炭素化を牽引し、持続可能な社会の実現に貢献することを期待しています。