あしなが育英会が調査を実施
一般財団法人あしなが育英会(東京都千代田区、会長:村田治)は、2025年8月から9月にかけて、3907人の高校奨学生とその保護者を対象に調査を実施しました。この全体調査は、東京都立大学の阿部彩教授の協力のもと行われ、実に4421人からの回答が集まりました。
この調査によると、高校奨学生を持つ家庭の貧困率は53.5%にのぼり、特に親に障がいがある家庭ではその率が60.7%に達するなど、深刻な状況が明らかになりました。こうした経済的背景が、奨学生の日常生活や学業に悪影響を及ぼしていることに注目が集まっています。
調査結果の概要
調査から得られた主要なデータを以下にまとめました:
- - 奨学生世帯の経済状況:平均収入は249.3万円で、貧困率が53.5%に達する。
- - 障がい者家庭の状況:保護者が障がいを抱える世帯では平均収入が234.1万円で、60.7%が貧困に該当。
- - 滞納の問題:約1/5の世帯が税金や社会保険料を滞納した経験があり、電話代や光熱費など料金滞納の割合は一般家庭の5〜7倍に。
- - 食料購入の制約:52.2%が「お金が足りなくて食料を買えなかった」経験あり。
学業への影響
調査はまた、高校奨学生が直面する活動の制約にも言及しています。例えば、友人との遊びに出かけるお金を欲しいと感じている学生が36.2%に上り、高校生らしい活動がなかなかできない現状が見て取れます。
さらに、部活動への参加率も一般の高校生に比べて8.4ポイントほど低く、家計の事情やアルバイトが大きく影響しています。この中で、奨学生は自身の生活費や学業の必要物品のためにアルバイトをする必要に迫られ、中には親の介護を担う「ヤングケアラー」と呼ばれる存在も多く含まれています。
ウェルビーイングへの影響
今回の調査では貧困の深刻さが浮き彫りになっただけでなく、子どもたちのWEll-being、すなわち心地よい生活や充実感の喪失が懸念されています。奨学生やその家族は「贅沢をしたい」とは考えず、ただ周囲の人たちが「当たり前に享受している環境」を自身も得たいと願っています。この「当たり前」が貧困によって脅かされている状況が問題視されているのです。
まとめ
調査結果は、経済的貧困がもたらす多様な問題が子どもたちの生活に影響を与えていることを示しています。まずは、基本的な生活が保障されることが、幸福感やゆとりのある生活を実現するための第一歩となるでしょう。
== さらに詳しい調査結果については、「調査レポート」をご覧ください。また、保護者の自由記述欄の抜粋も合わせて閲覧可能です。 ==