企業の連携による新たなデータ活用基盤
2023年、古野電気株式会社と寺崎電気産業が連携し、船舶データ活用における新たなプラットフォーム「TMIP×FOP」の導入を発表しました。このシステムは、三菱鉱石輸送株式会社が所有する自動車専用船「WILD ROSE LEADER」に搭載され、航海データや機関系データをリアルタイムで収集・分析することを目指しています。
「TMIP×FOP」とは
「TMIP(TERASAKI Marine Information Platform)」と「FOP(FURUNO Open Platform)」は、それぞれの強みを融合し、船上と陸上を結ぶデータ通信を可能にします。船舶上でTMIPは各種データを収集し、その情報はFOPのクラウドサーバーに転送されます。これにより、ユーザーは陸上から船舶の機器をモニタリングし、高精度なデータを得ることができます。特に、1秒単位の高粒度データをリアルタイムで取得できる点が特徴です。
データ活用による効率化
TMIP×FOPの導入により、船舶業務の運用効率が向上し、トラブルが発生した際の迅速な対応が期待されます。これまでのデータ収集システムと異なり、ユーザーは必要に応じてリアルタイムでデータにアクセスできるため、問題の早期解決を促進します。特に、航海データや機関データの収集と分析は、運航の安全性向上に寄与するとともに、環境への配慮にもつながります。
環境への取り組み
「WILD ROSE LEADER」は、LNGを燃料として使用し、従来の重油焚き機関に比べて二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)などの排出を大幅に削減しています。この環境負荷の低い船舶と新たなデータ活用基盤の組み合わせが、持続可能な海運業界の実現に向けた一歩となることが期待されています。
異業種連携の重要性
近年、様々な業界での異業種間連携が進んでいます。古野電気と寺崎電気の提携もその一環であり、両社はそれぞれの経験やノウハウをねじれさせることで、業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進めています。あらゆるステークホルダーの参加を促し、船舶業務の効率化とイノベーションの加速を狙っています。
最後に
古野電気と寺崎電気が共同で開発した「TMIP×FOP」は、ただのデータ収集システムにとどまらず、船舶業界全体に新たな価値を提供するものです。これからもますます多様化する船舶運営のニーズに応えるため、両社はさらなる技術革新に挑戦し続けます。データ活用の未来は、今まさに船の上で展開されているのです。