New Relicの最新レポートが示す2025年のオブザーバビリティトレンド
New Relic株式会社が、テクノロジー市場調査会社のEnterprise Technology Research(ETR)との共同で行った調査結果を基にした「2025 オブザーバビリティ予測レポート」の日本語版を発表しました。このレポートには、日本を含む23カ国の1,700名のエンジニアやITリーダーを対象にした調査データが反映されています。
システム停止のコスト
調査によると、深刻なITシステム停止が発生した企業は、年間で平均7,600万ドルの損失を被っています。特に、停止による損失の中央値は、1時間ごとに約200万ドルに達し、システムが復旧するまでの間にあり得る損失額はさらに増加します。この状況は、企業にとって深刻なRI(損失回収指標)の問題を引き起こします。
オブザーバビリティの重要性
オブザーバビリティは、システムの停止を未然に防ぐための鍵となる技術です。フルスタックオブザーバビリティの導入が進むことで、システム停止に伴う損失コストの削減が実現されるとされています。その結果、オブザーバビリティを取り入れた企業は、システム停止による損失が半減することがデータで明らかになっています。
具体的には、フルスタックオブザーバビリティを導入している企業は1時間あたり100万ドルの損失に対応しており、未導入の企業が200万ドルに達するのに対し、明確な差が生じています。
AIの導入が需要を後押し
AI技術の導入が進むことで、オブザーバビリティの需要がさらに高まっています。調査によると、経営幹部の45%がAI技術の導入が重要な要因となっていると回答しており、今後もAIを活用したオブザーバビリティが注目されることが予測されます。
AI監視機能の導入率も急上昇しており、2024年には42%から2025年には54%に靴せり上がる見込みです。これにより、より高度なシステムの可視性が求められ、新たな課題も浮き彫りになります。
システム内でのAI活用
今後、AI強化型オブザーバビリティプラットフォームの利用が進むことで、AIモデルやAPI、他のアプリケーションとの相互作用をリアルタイムで把握することが求められています。これにより、インシデントの対応策やトラブルシューティングの迅速化が期待されています。
経営者と実務担当者の視点
調査結果では、企業の経営者や実務担当者がオブザーバビリティの導入によるメリットについて明確に認識していることが分かりました。予期しないダウンタイムの減少や効率的な運用の向上がその主な理由として挙げられています。また、実務担当者からは、トラブルシューティングや連携の向上が評価されています。
新しいオブザーバビリティの時代
今後、多くの組織がオブザーバビリティツールの統合を進めると予想されています。2023年から2025年にかけての調査結果によると、オブザーバビリティツールの使用数は27%減少する傾向にあり、単一のプラットフォームへの移行が進むことで、企業にとっての利便性が向上する見込みです。
言い換えれば、新たなオブザーバビリティ技術を活用することで、企業はシステムダウンにともなうコストを削減しつつ、ビジネスの目標達成に集中できる環境が整うのです。
結論
New Relicが発表した「2025 オブザーバビリティ予測レポート」は、IT業界における今後のトレンドや課題を示唆しており、企業がデジタル化を進める上での貴重な指針となります。AI技術の進歩やオブザーバビリティの進化は、今後のビジネスにおける競争力を大きく左右する要素といえそうです。
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企業はデジタル変革を進める上で、AIによる監視システム導入を強化し、それに対する適切な投資を行うことで、競争力の向上を図るべきです。