能登半島の未来を形作る新たな挑戦
株式会社CACL、株式会社LIXIL、有限会社永山祐子建築設計の3社が共同で、能登半島地震の影響を受けた地域の復興を目指すプロジェクトを発表しました。この取り組みでは、地震で倒壊した家屋に使われた黒瓦を廃棄することなく、建材として再利用することが目指されています。
プロジェクトの意義
能登半島地震では、多くの家屋が全壊または半壊の被害を受けました。現在は公費解体が進められていますが、そこで発生する瓦などの材料をただ処分するのではなく、地域の想いを未来に繋げる素材として活用することが、このプロジェクトの核となっています。
具体的には、解体業者が瓦を分別し、地域集積場を経由して廃棄されるのではなく、CACLがその瓦を回収・保管します。これをLIXILの技術を用いて新たな建材として生まれ変わらせます。これにより、黒瓦の文化が維持されると同時に、地域にとっての価値が再生されます。
プロジェクトの流れ
公費解体された家屋から回収された黒瓦は、専門の業者によって粉砕され、その後CACLが購入し保管します。黒瓦は、LIXILによって新たな建材として加工され、永山祐子建築設計がこの素材をどのように利用するかのデザインを行います。
この流れによって、黒瓦はただの廃棄物ではなく、地域の復興の象徴となることを目指しています。
背景と理念
CACLの代表奥山純一氏は、震災直後から地域復興に取り組んでいます。「黒瓦」を通じて地域の歴史や記憶を未来に繋ぐことができると考え、プロジェクトが展開されることになりました。
この思いは、建材のアップサイクルに注力してきた永山祐子建築設計と結びつき、最終的にLIXILの協力を得て発展しました。珠洲市の支援も得て、無事プロジェクトが始動する運びとなったのです。
使用する素材
このプロジェクトで使用する黒瓦は、粉砕された後、LIXILの独自技術「textone」の原材料として活用されます。これによって生まれる素材は、従来の黒瓦のイメージを覆すオレンジ色の柔らかいトーンが特長です。天然素材を使用したこのデザインは、能登の風景を感じさせる優れた美しさを持っています。
今後の展開
既に実験的なマテリアル製造は始まっており、今後はこの黒瓦素材を使った具体的な建築物の再生に取り組む予定です。また地域のニーズに応えられるよう、パートナー企業とも協力していく考えです。
これにより、能登半島の地域文化や歴史を未来に伝える新たな形を創出し、持続可能な地域社会の形成に寄与することを目的としています。
このプロジェクトの成功によって、今後も他の地域への展開を視野に入れた活動が期待されます。