トマス・リゴッティによる傑作小説集『悪夢工場』が2025年12月4日に日本で刊行されます。リゴッティは現代アメリカのカルトホラー作家として広く知られ、これまでに4回のブラム・ストーカー賞を受賞した実力派。彼の作品は、暴力描写を避けつつも、深いニヒリズムとペシミズムにあふれ、不穏な風景を巧みに描き出しています。
彼自身が恐怖そのものとして描かれることもあるリゴッティの作風は、高い文学性を持っており、エドガー・アラン・ポーやH.P.ラヴクラフト、フィリップ・K・ディックと同等に語られます。新刊『悪夢工場』は、彼の作品群の中から厳選された9編を含んだ日本オリジナル編集の短編集で、リゴッティの独特な恐怖の世界を存分に楽しむことができる内容です。
本書では、リゴッティの初期作品から最近の短編までが収録されており、それぞれの変遷が見える貴重な一冊となっています。特に、第一短編集『Songs of a Dead Dreamer』に収められた「戯れ」や「アリス最後の冒険」、また1996年の「赤塔」などが選ばれており、その独特な作風の変化を感じられることでしょう。
リゴッティの物語は、読者の神経に訴える悪夢のようなオーラを持ち、我々に生きることの本質や、存在そのものに対する疑問を投げかけてきます。この作品を手に取ることで、ホラーの真髄に触れることができるでしょう。
先代の名作たちに肩を並べるリゴッティの作品を、ぜひ一度味わってみてください。新たなホラーの世界が、あなたを待っています。
目次
1. 戯れ[The Frolic](若島正訳)
2. アリスの最後の冒険[Alice’s Last Adventure](白石朗訳)
3. ヴァステイリアン[Vastarien](若島正訳)
4. 道化師の最後の祭り[The Last Feast of Harlequin](宮脇孝雄訳)
5. ネセスキュリアル[Nethescurial](若島正訳)
6. 魔力[The Glamour](若島正訳)
7. 世界の底に潜む影[The Shadow at the Bottom of the World](若島正訳)
8. ツァラル[The Tsalal](若島正訳)
9. 赤塔[The Red Tower](若島正訳)
リゴッティ独自のペシミズムと人間存在への疑念、そしてそれに伴う陰鬱な恐怖の表現は、現代ホラー文学の宝石とも言える存在です。リゴッティの新作を通じて、彼の魅力的な文学世界を体験してください。