自宅介護における課題とリノベーションの可能性を探る
近年、在宅介護のニーズが高まる中、自宅で介護を行う際の多くの課題が浮き彫りになっています。株式会社MEMOCOが実施した調査によると、介護を経験した140名の回答から、自宅環境が介護に与える影響は計り知れません。要介護者や介護者が過ごす空間は、使い勝手の良さや安全性が求められます。
調査概要と回答者の構成
調査は2024年7月、140名の介護経験者を対象にインターネットで行われました。回答者は男女比が約36%の男性、64%の女性であり、年代は20代から60代以上まで幅広く、特に30代、40代の参加者が多い結果となりました。これらの参加者の中で、自身または家族に障害のある方は約66%であることが分かりました。
自宅で感じる介護のストレス
自宅で生活しながら介護を行う中で、多くの人が抱えるストレスポイントがいくつか挙げられました。50代の女性からは「家事が上手にできないことがストレス」との声が寄せられ、また40代の女性は「ゴミ出しなど生活全般にストレスを感じる」と述べています。これは、日常の家事を続ける上で身体的な制約が大きな負担となることを示しています。
バリアフリー住宅の要望
調査参加者からのフィードバックでは、特に動線の確保や支援スペースの必要性が強調されました。例えば、50代の女性は「もう少し部屋が広かったら、車椅子が動きやすいのに」と述べ、40代の女性は「階段移動が難しいためエレベーターが必要」と訴えています。これらの意見は、物理的なスペースの確保が如何に重要であるかを示しています。
住環境の改善に向けて
例えば、50代の女性は手すりの可動性が重要と語りました。「段差があることで、車椅子の使用が難しくなるので、フラットな床にする必要がある」との意見もあり、住環境の改善がいかに求められているかが明らかになりました。また、参加者は「段差を減らして各部屋の仕切りをなくしたい」「スライド式の玄関ドアにしたい」など、具体的な希望を持っていることが伺えます。
デザインと機能の両立
介護に関する住環境のリノベーションについて、多くの参加者がデザイン性を重視していることも特徴的でした。「オシャレさを残しつつバリアフリーな空間を作りたい」という声もあり、単なる福祉設備だけでなく、見た目にも配慮した住宅が求められています。これは、快適な住環境と精神的な安心感を同時に得るためのニーズです。
ゼロリノベの取り組みと実績
2023年にゼロリノベが受賞した『リノベーション・オブ・ザ・イヤー』においても、非常に重視されたのはユニバーサル・デザインです。住宅内の移動を容易にするためのスロープや、使いやすい装備を取り入れることで、長期にわたって住みやすい環境を実現しています。これにより、多くの利用者が快適に生活できる空間が提供されています。
まとめ
今回の調査から、自宅で介護を行う中でのストレスや要望が具体的に浮き彫りになりました。スペースに関する要求やデザイン面の配慮が求められていることは、今後の住宅リノベーションの方向性を示唆しています。単なるバリアフリーの視点だけでなく、利用者の気持ちを大切にした住宅環境の実現が今後の課題であると言えるでしょう。