神戸市のトータルブレインケア、新技術で高齢者転倒防止に挑む
株式会社トータルブレインケアは、神戸市が実施する「2025年度中小企業チャレンジサポート補助金」の採択を受け、介護施設における高齢者の転倒リスクの可視化と予防に効果的なプログラムの開発に取り組んでいます。
介護施設での転倒事故の現状
介護施設において発生する事故の約70%が転倒によるものであり、その60%が骨折に繋がるという非常に深刻な問題が存在します。また、高齢者の転倒によって発生する医療・介護費は年間で約7.3兆円に達し、その影響は要介護度の進行にも大きく関与しています。従来の評価システムでは認知機能に起因するリスクを十分に把握することができず、多職種の間で情報を共有することも難しい状況でした。
新たなプログラム『CogEvo-FALL(仮称)』の特徴
トータルブレインケアが開発する『CogEvo-FALL』は、既存の認知機能可視化ツール『CogEvo』を用いて、次のような革新をもたらします。
SPPBやTUG、FRTなどの身体機能評価に加え、CogEvoによって測定された5領域(記憶力・注意力・見当識・空間認識・計画力)の認知機能を統合した「ポイント制スコア」を導入。
タブレット1台でわずか5分で測定を完了し、データの集計もワンタッチで行えます。
五角形チャートと総合リスク数値をリアルタイムで表示し、PDF形式の報告書を自動生成します。
e-Learning動画(15分×3本)と職員マニュアルをパッケージに同梱し、実施をサポートします。
実施計画と期待される効果
2025年10月から2026年2月にかけて、埼玉県内の提携通所介護施設で100~300名を対象にした概念実証(Proof of Concept)を実施し、転倒やヒヤリハットのリスクを10%以上軽減することを目指しています。このプログラムの導入によって、以下のような効果が期待されます。
- - 転倒や骨折を10%削減することで、介護老人保健施設一つあたり年間約260万円の医療費を抑制。
- - 測定時間を通常の10-15分から5分に短縮し、年間160時間の業務効率化。
- - 高齢者の要介護度の進行を抑え、QOL向上に寄与。
今後の展望
2026年度(令和8年度)には20の施設への導入を進め、その後は全国の通所介護・リハビリテーション事業所への拡大を計画しています。さらに、将来的にはASEAN地域の高齢者施設への海外展開も視野に入れ、さらなる普及促進を目指しています。
中小企業チャレンジサポート補助金の概要
この補助金は、神戸市が地域の中小企業の新規事業展開を支援するもので、対象となる経費の1/2(上限150万円)が補助されます。
『脳体力トレーナーCogEvo』の紹介
脳体力トレーナーCogEvoは、認知機能をさまざまなゲームを通じて評価するツールです。既に多くの企業や施設で導入されており、認知機能改善プログラムや健康経営支援など多岐にわたる場面で活用されています。
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株式会社トータルブレインケアについて
トータルブレインケアは、認知機能の可視化を通じて人々の健康を支える企業です。医学的なエビデンスに基づいた次世代型ヘルスケアビジネスを展開し、社会の健康に寄与していきます。
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