広がる黒川地区の伝統技術
兵庫県川西市の北部、黒川地区では、地元の特産品である「一庫炭」(菊炭)の窯出し作業が2月上旬から本格的に始まりました。この地域で唯一、室町時代から続く炭焼きを行っているのは、54歳の今西学さんです。彼は、炭焼きの貴重な伝統技術を守り続けつつ、その魅力を次の世代に引き継いでいます。
黒川地区の炭焼きの歴史
黒川地区は、良質なクヌギが手に入る土地柄から、室町時代頃から炭焼きが盛んに行われていました。しかし、昭和30年代以降の電気やガスの普及により、炭の需要は減少し、山間部の開発も進んだことから原木の確保が厳しくなっています。今や、この地域で炭焼きを行っているのは今西さんの一軒のみです。
菊炭の特徴
「菊炭」とは、焼かれた炭の断面が菊の花びらのように見えることから名付けられています。その特徴として、まず火付きが良く、火持ちが長い点が挙げられます。また、燃焼中には煙がほとんど出ず、音も静かなので、茶席などでの高級炭として評価されています。
窯焼きの工程
一庫炭の炭焼き工程は、クヌギなどの原木を窯に運び入れる「窯入れ」から始まり、奥行き4メートル、幅3メートル、高さ2メートルほどのたまご型の窯に、長さ1メートル・直径10センチくらいの原木を隙間なく立てかけ、雑木を詰めて内部を整えます。この作業を経て、静かに炭へ変わる様子が見られるのです。
窯出しの現場
寒い朝の7時、窯出し作業がスタートします。100から120℃に達する過酷な窯内で焼き上がった炭を外に運び出す作業は、約15分ごとに行われ、窯の中と外での休憩を繰り返しながら慎重に進められます。一度の作業で約6トンの原木を使用し、盛況に行われるこの活動からは、750キロの菊炭が生産される予定です。
これらの炭焼き作業は、4月末頃まで続けられる予定で、今西さんをはじめ、炭焼きの未来がどのように展開されるか注目されます。今西さんの努力が、この貴重な伝統をどのように保つのか、興味深いところです。また、地域の特産品としての価値を見出すことができれば、多くの人々にその魅力を知ってもらえるでしょう。黒川地区の「一庫炭」からは、長い歴史と情熱が感じられ、その深い魅力に触れることができます。