静岡県浜松市の新たな医療アプローチ
静岡県浜松市で新しい医療サービスが始動しました。この取り組みは「春野医療MaaSプロジェクト」と呼ばれ、特に高齢化が進む中山間地域を対象にしたドローンによる医薬品配送の実証実験です。浜松市が進行中のプロジェクトは、経済産業省の「地域新MaaS創出事業」に認定された先進地域の一つとして注目されています。
高齢化社会に応える新しい医療の形
本プロジェクトの背景には、浜松市の天竜区という地域特有の医療課題があります。この地域では、約42%の高齢化が進んでおり、医師不足や通院の困難といった課題に直面しています。そこで、浜松市と地域医師会、そして民間企業が協力し、オンライン医療サービスとドローンによる薬の配送を組み合わせることで、これらの問題を解決しようとしています。
プロジェクトは二つの主要な実証実験を行います。
1.
オンライン診療の実施 - 移動診療車を用いた対面診療の代替として機能します。
2.
ドローンを使用した医薬品配送 - オンライン服薬指導を経て、医薬品を患者の元に届けるサービスです。
この中で、株式会社トラジェクトリーと株式会社スカイピークは、特に医薬品配送に特化した実証を行っています。
目指すは「Level4」の自律飛行
本プロジェクトが目指すのは、首相官邸が打ち出した「空の産業革命に向けたロードマップ2020」における「Level4」と呼ばれる自律飛行の実現です。これは、有人地帯で目視外かつ補助者なしでの運用を可能にする技術です。将来的には、高齢者が自宅にいながら必要な医薬品を手に入れることができるようになります。
実験の概要と重要な検証項目
実証実験は2020年10月から12月下旬まで行われ、主な活動は以下の通りです。
- - 離発着地点の検証: ドローンが安全に降り立つための条件を確認します。
- - 飛行経路の検証: 高圧鉄塔や電線といった障害物を考慮した最適な経路を模索します。
- - 医薬品受け渡しの検証: 患者がドローンから医薬品を受け取る際の安全性や手続きの負担を評価します。
このように、実験を通じて様々な要素を検証しつつ、実用的なサービスの展開を目指しています。
浜松市のデジタル推進とMaaS構想
浜松市は、昨年10月に「デジタルファースト宣言」を行い、持続可能な都市づくりの一環としてデジタル化を推進しています。また、さまざまな分野のデータを活用し、地域のニーズに応じたサービスを展開することを目指しています。その一環として、「浜松市デジタル・スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立し、官民協力による地域課題の解決に取り組んでいます。
未来への展望
私たちの目指すべき社会は、誰もがドローンの利便性を享受できる環境です。春野医療MaaSプロジェクトは、その一環として位置付けられており、高齢者や医療にアクセスしにくい人々にとっての新たな希望となることが期待されています。
将来の展開としては、ドローンの利用をさらに拡大し、気候変動や災害時の医療支援を含め、社会の多様なニーズに応えることが求められます。私たちは、これを全うするために、さらなる進化を続けてまいります。