ヘルスケアパスポートの導入背景
最近、医療のデジタル化が進む中、TISと東和薬品が共同で東京都立広尾病院に「ヘルスケアパスポート」を導入しました。このサービスは生活者の健康情報と医療情報を安全に共有できるPHR(パーソナルヘルスレコード)基盤として提供されています。これにより、患者は自分の健康情報を医療従事者や家族と簡単に共有することができ、より良い医療を受けることができます。
広尾病院は都内の重要な基幹病院であり、救急医療や島しょ医療を担っています。この病院の総合診療科では、特定の疾患を限定せず、総合的な初期診療を行っています。この新しいアプローチは、患者が自らの健康に対するオーナーシップを持ち、データを管理することで、より主体的な治療方針を選べることを目指しています。
ヘルスケアパスポートの機能
「ヘルスケアパスポート」は、PCブラウザを通じて患者の健康データを登録し、医療スタッフがその情報を共有・分析することを可能にします。このサービスを通じて、特に心理的および身体的な障害を持つ患者にとって、見えない苦痛を可視化し、医師が適切なアドバイスや介入を行うことで、早期の治療が期待されています。
広尾病院では、特に自宅療養中のモニタリングも行われ、患者が自らバイタルデータを計測・登録することで、日々の健康状態を把握しています。このため、輸血のデータを自動的に連携できるスマートウオッチと連携し、痛みの度合いや普段の生活状況をコメントとして記録可能です。
導入によるメリット
「ヘルスケアパスポート」が導入されたことによって、検査では把握しにくい「見えない苦痛」を明確にし、患者の社会復帰を支援する効果が得られました。具体例として、慢性痛を伴う線維筋痛症の患者では、医師がブラウザで情報を確認し、電話で追加ヒアリングを行うことで、迅速に薬の調整が可能となりました。また、POTS(起立性調節障害)の患者についても、数カ月の自宅療養を経て再び学校や仕事に復帰できるようになりました。
さらに、この新システムにより外来診療の効率も向上しました。事前に患者の状態を把握できるため、医療スタッフはより効率的に働けるようになり、医師の診療時間を短縮することにも成功しています。ここに人工知能(AI)による問診などのツールを併用することで、医師の負担を軽減しつつ、患者へのきめ細やかな対応を実現しています。
今後の展開
広尾病院では、今後「ヘルスケアパスポート」の他の診療科や部門への導入を拡大していく予定です。さらに地域医療や多職種連携の強化も図り、より多くの患者にこの革新的なサービスを届けることを目指しています。
広尾病院の医療スタッフによれば、モニタリングを通じて患者の通院回数や不安による救急外来の受診の減少が確認されており、医療費の削減にも寄与することが期待されています。新しい医療の形を作るために、次世代の医師にもPHRのメリットを伝え、共に進めていく考えです。
総括
今回の「ヘルスケアパスポート」の導入は、患者の健康と医療情報の共有を実現する大きな一歩と言えるでしょう。このシステムが地域医療のさらなる発展に寄与し、今後の医療現場に変革をもたらすことが期待されます。詳しくは
TISの公式ページをご覧ください。