フォーラム概要
2023年10月23日、AIデータ株式会社(東京都港区)の主催により、『AIエージェント×AXフォーラム~食品業界~』が開催されました。本セミナーでは、食品業界が直面する様々な課題へのAI活用とデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進をテーマに、著名な専門家たちが意見や事例を共有しました。
セッション1: AIエージェントと食品業界
最初のセッションでは、AOSグループの代表である佐々木隆仁氏が登壇し、食品業界が直面する人手不足や複雑なサプライチェーン、さらには消費者ニーズの多様化に対して、データ駆動型経営の重要性を強調しました。佐々木氏は、「現場で散在するデータを統合し、AIエージェントが業務上の判断を支える仕組みが必要」と語り、企業が持つ“暗黙知”を文書化・構造化して次世代に継承するビジョンも提示しました。このように、食品製造から流通・小売に至るバリューチェーン全体でのデータ活用が、持続可能な成長の基盤となると訴えました。
セッション2: 日本産食品の国際展望
続いて、日本貿易振興機構(JETRO)の西浦克氏が、海外市場における日本産食品の潜在力に焦点を当てました。特に、健康食品や製品のトレーサビリティの強化にAI情報の可視化が役立つとし、ジェトロが提供しているデジタル技術やAIを活用した食品輸出支援策について語りました。食品安全規格や認証のハードルをデータを駆使して克服し、「証明力」と「説明責任」を強化する戦略が重要であると述べました。
セッション3: AIによる持続可能な成長の新インフラ
AIデータ社の志田大輔CTOは、自社開発のプラットフォーム『AI FoodChain on IDX』について紹介しました。このシステムは、流通や外食業界における食品の原料から消費者までのデータを統合し、生成AIを活用することで売れ筋分析や危機対策を実現。説明責任や品質監査を強化するための環境を整えることができると強調し、業界共通の知識基盤としての可能性を示しました。
セッション4: サプライチェーンのデジタル化
株式会社シコメルフードテックの川本傑氏は、食のサプライチェーン全体にわたるDXの必要性を解説しました。データのつながりを通じて各プロセスにおける課題を解決することが急務であるとし、AIによる需要予測や出荷ロスの可視化の例を挙げました。「食品DXは部分最適に終わらず、持続的なデジタル化が必要である」との見解が印象的でした。
セッション5: 顧客体験の新たな価値
Okage株式会社の内田善久CEOが、飲食業界におけるAI導入の意義に触れました。セルフオーダーシステムやAIチャットによる接客など、顧客体験を向上させるAI施策を紹介。人手不足やサービス品質に対応するため、AIエージェントが役立つ支援役として機能することが可能であるとのメッセージが特に響きました。
まとめ
今回のフォーラムでは、食品業界における生成AIの役割や展望が多角的に議論されました。今後はデータ活用やAI支援を通じて、持続可能な成長を目指していくことが求められるでしょう。このようなフォーラムは、多くの関係者が集まり結束を深める機会となったことが印象的でした。