建設業界の新卒採用動向 2年連続の減少で未来への不安広がる

建設業界の新卒採用動向

近年、建設業界では新卒の就職動向に注目が集まっています。特に2024年度の新卒者についての調査では、過去2年間にわたり新卒の就職者数が減少していることが明らかになりました。この調査を実施したのは、東京都新宿区に本社を構えるヒューマンリソシア株式会社です。同社は、建設業を中心に人材派遣や育成に特化したサービスを提供しており、その専門的な視点から業界の人材動向を掴んでいます。

新卒就職者数の減少

2024年の新卒者数は前年比で2.1％減となり、これにより大学や専門学校卒業者の就職人数も減少に転じました。これは、前年と比較して、大学院や大学、短大、高専、専修学校の卒業者のうち、「建設技術者」としての就職者が減ってきたことを示しています。建設各社は新卒採用市場での確保に苦戦しており、今後の人材確保がますます困難になる可能性があることが懸念されています。

女性の活躍と文系の採用増

一方で、建設業界では女性の新卒就職者割合が過去10年間で最高の25.7％になっていることも注目に値します。特に工学部以外の女性の応募者が増加しており、建設業界がこれまでの技術者の枠を広げていることが伺えます。これにより、女性の定着率の向上や、入社後の育成体制の充実が求められています。また、文系出身の採用が増加していることが、業界の多様化に向けた動きとしても評価されています。

人材不足の進行

しかしながら、建設業界は依然として人材不足が深刻な状況です。特に建設技術者の有効求人倍率は全職業中でも抜群に高い5.57倍に達しており、業界における人材の需給がひっ迫しています。また、就業者の高齢化も進んでおり、定年退職による離職が増加することが予見されています。これにより、新卒の就職者が減少することは、将来的な人材の確保に対する大きなリスクとなります。