特定技能外国人受け入れに成功した木材産業の新たな試み
2023年10月、株式会社A-stationが日田市で木材産業における特定技能外国人の受け入れを成功させた。この取り組みは、インドネシアから来日した2名の外国人が株式会社ネクストで就労するというもので、全国的にみても極めて珍しい事例として注目されている。
先進的な人材受け入れモデル
大阪市中央区に本社を置くA-stationは、地域の製造業の人材確保に向けた先駆的なモデルを構築した。特に木材産業は今、日本の林業人口が高齢化および減少しており、人手不足による技能継承の問題を抱えているため、この支援が必要とされている。受け入れ実施日時点では、NHKを含む複数の報道機関が取材に訪れ、地域一丸となった歓迎ムードが漂った。
大使館関係者も参加する歓迎会
この成功を受け、2025年10月31日に日田市内でインドネシアの木材人材を祝う歓迎会が予定されている。地元企業、行政、教育機関が一堂に会するこの場には、インドネシア共和国大使館の関係者も参加予定で、国際的な交流を祝う場となる。
A-stationの取り組み
A-stationは「企業と外国人の架け橋」を理念に掲げ、採用から教育、生活支援、就労定着までを総合的に支援している。このような包括的な支援体制を通じて、地域産業の持続可能な発展を目指し、外国人材を地域社会の一員として迎える姿勢が重要であると考えられている。
同社は、インドネシアの木材専門大学と連携し、受け入れ前から語学研修や技能訓練を実施。丁寧な支援が評価され、定着率98%を誇る。
奥村真弘代表取締役は、「外国人材を地域社会を共に支える仲間として迎えることが大切です。この取り組みが地方の製造業に未来をつなぐ一歩となることを確信しています」と話している。
特定技能制度が果たす役割
特定技能制度は2019年に施行され、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が中長期的に働くことを可能にしたが、離職率が高く、定着支援が喫緊の課題とされている。その中でA-stationは様々な分野での成功事例を持ち、今後は木材産業にも支援を広げる方針だ。
A-stationの支援体制には、N1・N2レベルの多言語スタッフによる細やかな支援、入国から生活、就労、メンタルケアをクラウドで管理するシステムなどが含まれ、それらは、企業が安心して外国人材を採用するための土台となる。
業界関係者向けのセミナー開催
これに続き、2025年11月6日には業界関係者を対象とした「木材産業分野 外国人材受け入れセミナー」が開催される。このセミナーでは、特定技能制度を利用した受け入れの成功ノウハウや送り出し国インドネシアの最新情報が紹介される予定であり、多くの参加者が見込まれている。
今後の展望
A-stationは「外国人との共存をより身近に、安心に、豊かに感じられるアジア社会の創造」という理念を元に、全国の企業に対して特定技能を取り入れた優れた海外人材の採用・教育・管理・支援を行っていく。地域と共に持続可能な人材モデルの構築を目指し、さらなる取り組みを進めていく予定だ。
このような動きは、地方経済の活性化を促進し、日本の木材産業が新たな時代へ進むための力となることを期待したい。