2025年7月1日、東京で開催された式典で、日本イノベーションネットワークの会長であり、玉川大学経営学部名誉教授の近野昇氏が、ピーター・ドラッカー・ソサイエティヨーロッパからシニアフェローの称号を授与されました。この栄えある称号は、現代管理の父と称されるピーター・ドラッカーの理念を体現する優れた業績を持つ人物に与えられるものであり、近野氏は2023年に受賞した故・野中郁次郎教授に続いて、日本人として二人目の受賞者となります。
式典では、ピーター・ドラッカー・ソサイエティヨーロッパの創設者であり、会長のリチャード・ストラウブ博士が近野氏の知的リーダーシップを称賛しました。特に、彼が提唱する「知識生態系」という概念や、日本語で「場」を表すBaの概念が、ドラッカーの「社会的生態系」という基本的なアイデアの素晴らしい具現化であると評価されました。ストラウブ博士は、これらの考え方が、今日の多様なステークホルダーが関わるエコシステムにおいて、成功を収めるために不可欠であると強調しました。
近野氏は、称号を受ける際に「このような名誉をいただけることに深い感謝と責任を感じています。この認識は、私が歩んできた道を確認するものであり、さらなる探求と貢献の新しい出発点を意味します」と述べました。
近野氏は、知識創造や革新管理の分野において、理論と実践の橋渡しをする重要な役割を果たしてきました。特に、野中教授との協働を通じて、Baの概念の取り組みが評価され、学際的な視点から建築、管理、デザイン思考、目的工学、革新管理システムにおける研究が行われてきました。この知識の生態系は、日本国内外で高く評価されています。
日本イノベーションネットワークのリーダーシップを通じて、近野氏は日本の大手企業、政府機関、大学、研究機関と協力しながら、持続可能な社会システムを支える知識創造組織の発展を促進しています。シニアフェローの称号の授与は、彼の知的および実務的な影響力が国際的に認識されたことを象徴しています。
近野昇氏について: 彼は日本イノベーションネットワークの会長であり、玉川大学経営学部名誉教授です。知識創造の理論において、彼の理論と実践の貢献は広く認められています。特に、Baの概念に対する貢献が高く評価されています。彼は慶應大学でシステムデザインマネジメントの特任教授、また、日本先端科学技術大学院大学の客員教授も務めた経歴を持ちます。著書には「知的能力の知性化」(日経BP, 1995年)や「知識ベースの管理入門」(筑摩書房, 1999年)などがあります。
ピーター・ドラッカー・ソサイエティヨーロッパについて: この非営利組織は、現代経営の父として知られるピーター・ドラッカーの哲学に基づいて設立され、経営を社会における重要な機能として進展させることを目的としています。彼の妻であるドリス・ドラッカーなどの支援を受けて、リチャード・ストラウブが設立しました。2009年からは、ウィーンで毎年開催されるグローバル・ピーター・ドラッカー・フォーラムも主催しています。