AI時代を支える通信インフラ、800Gbpsの光伝送プラガブルモジュールが登場

800Gbpsの大容量光伝送を実現する「1FINITY P300」

富士通が、急速に進化するAI技術の普及に対応するため、新たに開発したプラガブルモジュール「Fujitsu Network 1FINITY P300」を発表しました。このモジュールは、データセンター間を繋ぐ通信ネットワークの消費電力やコストを抑えつつ、毎秒800ギガビット（Gbps）という大容量の光伝送を可能にします。2025年3月3日から販売が開始され、同年3月にスペインのバルセロナで開催される「MWC Barcelona 2025」にも出展される予定です。

このプラガブルモジュールは、光電融合技術を駆使して光伝送を実現しているため、従来必要だった波長変換用のトランスポンダー装置が不要で、設置スペースや初期コストを削減します。つまり、コストと消費電力の両方を抑えながら、データセンターの分散化や大容量化に対応することができるのです。

高性能を実現する先端技術

「1FINITY P300」は、最先端の3ナノメートル（nm）デジタルシグナルプロセッサ半導体技術を搭載しており、低消費電力を実現しつつも高品質で高信頼性の光伝送を提供します。また、このモジュールはオープンな標準規格に準拠しているため、「1FINITY Tシリーズ」をはじめ、他の国内外の通信機器ベンダーの製品とも接続可能で、柔軟なシステム構築が可能です。

さらに、本製品はエラー訂正機能（ECC）を搭載しており、自動的にデータエラーを検出し修正することができます。これにより、運用中の信頼性が向上し、万が一の不具合発生時にもバックアップ機能が発揮され、安定した運用が可能です。

マルチベンダー対応でさらなる拡張性を

「1FINITY P300」は、OIF ZRやOpen ROADM MSAといった国際的な標準規格に準拠し、多様なベンダーの装置と互換性を持ちます。これにより、さまざまなニーズに応じた柔軟なネットワーク構成が可能となります。

また、富士通の運用管理ソフトウェア「Fujitsu Network Virtuora NC」を使用すれば、マルチベンダー対応のネットワーク運用管理が実施できます。このソフトウェアは、光ネットワークの制御や自動化を実現し、運用の効率化に寄与します。

SDGsへの貢献

富士通は、持続可能な開発目標（SDGs）への貢献を企業理念として掲げています。「1FINITY P300」を通じて、低遅延で高信頼の環境負荷を抑えた光ネットワークの実現を目指します。また今後、毎秒1.6テラビットの帯域拡張製品の開発も視野に入れています。

このように、「1FINITY P300」は、データセンター間の通信を進化させ、AIやIoTに支えられた未来の社会に不可欠なインフラとしての役割を果たすことが期待されています。社会の持続可能な発展をサポートしつつ、革新的な通信技術の開発を進める富士通の今後に、注目が集まります。