2024年、小中高生の自殺者数が過去最多に
特定非営利活動法人「あなたのいばしょ」による緊急調査が発表され、2024年度の小中高生の自殺者数が過去最多の527人に達したことが明らかになりました。これは前年よりも14人増加した数字で、特に中高生の自殺者数が目立つ結果となりました。
自殺者数の内訳と性別の変化
自殺者の内訳を見てみると、小学生が15人、中学生が163人、高校生が349人という分布です。性別に分けると、男子は239人で前年比20人減少しましたが、女子は288人で前年比34人増加しました。この結果、女子の自殺者数が男子を上回るのは2009年以来初めてのことです。
このような深刻な状況を受けて、「あなたのいばしょ」では相談データを分析し、どのような課題が浮かび上がっているのかを探りました。
相談データ分析から見える問題
「あなたのいばしょチャット相談」に寄せられた相談データによると、特に10代の女性からの相談が増加していることが明らかになりました。全体の相談件数も増加傾向にあり、小学生からの相談は前年比で27%も増加しています。中学生では18%の増加があり、低年齢化が進行していることも指摘されています。
相談内容を細分化すると、学校関連が30.5%という高率を占めており、前年比で42%も増加しています。また、親族関係の問題が9.2%、虐待や暴力が7.9%、生活や経済的問題は1.4%ですが、前年比60%の増加が見られ、特に注意が必要です。
子どもたちを守るために必要な対策
これらのデータは、10代女性、特に中高生の自殺リスクが高まっていることを示しており、早急な対策が求められています。また、小学生からの相談増加は、早期にサポートを提供する重要性を浮き彫りにしています。
「あなたのいばしょ」では、これらの課題に対して、さまざまな施策を講じています。クリアファイルにQRコードを掲載し、チャット相談へのアクセスを促進しているほか、独自開発した孤独予防教育プログラムを学校での実施も進めています。
「あなたのいばしょ」の取り組み
「あなたのいばしょ」は、2020年に設立された非営利団体で、24時間365日誰でも無料で利用できるチャット相談窓口を運営しています。世界32カ国に約1,000名の相談員が登録され、毎日およそ3,000件の相談に対応しています。この相談窓口は、特に夜間に多くの相談が寄せられることから、日本時間の夜22時から朝方にかけては海外在住の相談員が連携し、時差を活用して対応しています。
結論
小中高生の自殺者数が過去最多となったことは非常に憂慮すべき事態であり、特に女子の自殺者数の増加は深刻な警鐘です。この状況を受けて、「あなたのいばしょ」は社会全体に対して孤独のない、安全な環境づくりのために一層の取り組みを広げていく必要があります。サポートしてくださる自治体や団体、企業からの協力を求め、共に「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を目指します。