中小製造業のDXを加速するための「はじめの一歩」とは?
2018年から始まったデジタルトランスフォーメーション(DX)の波は、製造業にも大きな影響を与えています。しかし、多くの中小製造業者はこの流れに乗り遅れがちです。株式会社パブリカが運営する「ものづくり新聞」は、中小製造業がDXを始められる具体的なアプローチを提案しています。今回は、その分析結果から見える「はじめの一歩」を探ります。
DXの現状
製造業DXと聞くと、ERPの刷新やAIの導入、スマートファクトリーの構築など、大規模な取り組みが頭に浮かびます。しかし、中小製造業にとっては、そのような大掛かりな制度を導入するのは現実的ではありません。実際の現場では、記帳やデータの管理がアナログ方式に頼っていたり、検査が熟練者に依存していたりと、多くの問題を抱えています。
そのため、ものづくり新聞では、507件の中小製造業のDX事例を分析し、多くの企業が取り組んでいる「はじめの一歩」を以下の7つに分類しました:
1.
紙・Excel・手書き業務のデジタル化
各現場での業務が負担になるため、改善が実感しやすい。
2.
生産実績・品質データの見える化
経営側と現場が同じデータを見えるようにすることで改善の手立てを探る。
3.
設備データ収集・IoTの活用
機器の稼働状況を収集することで、効率的な生産が可能に。
4.
AIを活用した外観検査
人手不足対策として、AIを活用する需要が高まる。
5.
市民開発・ローコードでのアプリケーション開発
現場が自ら問題を解決する手段を持つことができる。
6.
生産管理・工程管理のデジタル化
日々の管理が容易になることで効率化が進む。
7.
技能継承・作業支援のデジタル化
人材育成と業務の効率化を兼ねている。
具体的な事例
1. 紙・Excel・手書き業務のデジタル化
サンコー技研では、手書きの日報をQRコードとスマホアプリでデジタル化しました。これにより作業の記録が自動化され、データの視認性が大幅に向上しました。
2. 生産実績・品質データの見える化
武州工業は、古い工作機械に光センサーを取り付け、稼働データをリアルタイムで記録することに成功しました。これによって製造リードタイムの短縮も実現しています。
3. 設備データ収集・IoTの活用
株式会社トーネジは、設備のIoT講演会をきっかけに導入したシステムで改善サイクルを加速し、生産率を向上させました。
4. AI外観検査
埼玉県内の中小製造業グループでは、AI外観検査を導入し、金属部品の微細な傷を100%検出することに成功しました。
5. 市民開発・ローコードでのアプリケーション開発
西機電装は、ノーコードツール『kintone』を用いて業務を効率化し、自社でのDXを実現しました。
6. 生産管理・工程管理のデジタル化
日本ツクリダスでは生産管理ソフトを自社開発し、デジタル化を段階的に進めた結果、属人化が解消されました。
7. 技能継承・作業支援のデジタル化
福島の高精度金型メーカーはIoTによる技能承継を可視化し、若手人材の育成をサポートしています。
結論
中小製造業がDXを進めるには、まず小さな改善からスタートし、効果を実感することが重要です。現場で何が見えないのか、どの業務が属人化しているのかを明らかにし、それに対してデジタル技術を活用することで、現場の業務改善が可能となります。ものづくり新聞では、今後も製造業に特化したDXの事例を継続的に発信し、企業の課題解決を支援していくことを約束します。