サントリーとコンサベーション・インターナショナルが進める新たな取り組み
持続可能なコーヒー生産の新たな道を切り開く
サントリーホールディングスと国際環境NGOのコンサベーション・インターナショナルは、コロンビアのウイラ地区で持続可能なコーヒー豆の調達と生産過程における温室効果ガス(GHG)排出削減を目的とした再生農業の実証プロジェクトを開始しました。このプロジェクトは2026年から約2年間にわたり進められ、当地の180の農家が参加します。
今回の取り組みでは、コーヒー豆の生産過程で出る残渣――果肉や果皮を利用した有機肥料を活用する再生農業が推進されます。これにより、収穫量の変化やGHG排出削減の効果を確認することを目指します。近年、コーヒー豆の主な生産地域では気候変動によって収穫量が不安定になるなどの課題が顕在化しています。
気候変動の影響と地域の課題
ウイラ地区でも、気温の上昇や降水パターンの変化が影響を及ぼしており、農地の拡大によって森林や生態系への負荷が増しています。また、水資源の管理や農家の高齢化、後継者不足といった深刻な問題が存在しています。サントリーとコンサベーション・インターナショナルは、このような地域の課題を解決するため、さまざまな取り組みを行っています。
ランドスケープ・アプローチに基づくこのプロジェクトでは、地域全体の課題解決に向けて企業、自治体、住民が協力し合います。この手法は、生物多様性条約第16回締約国会議(CBD-COP16)でも注目されており、地域全体の取り組みとしては新しい試みです。
サステナビリティを織り込んだ企業活動
サントリーは、持続可能な調達の理念を掲げており、土壌の肥沃化や水質改善のために再生農業を推進しています。2022年からは大麦、サトウキビ、サツマイモなど主要原料において化学肥料や農薬の使用量を抑えた方法を取り入れています。特に英国では再生農業を取り入れた結果、GHG排出量を最大30%削減することに成功しました。
コンサベーション・インターナショナルは、30カ国に拠点を置き、持続可能な社会の実現に向けてさまざまなプロジェクトを展開しています。気候変動や生物多様性の保全に取り組む中、サントリーとのパートナーシップを通じて地方の農家が直面する課題に対して実践的な解決策を提供し、サステナブルな農業を支援していく方針です。
未来を見据えた取り組み
お互いの知見や経験を活かしながら、サントリーとコンサベーション・インターナショナルは、持続可能な調達と地域の課題解決の両立を目指してより良い未来を見据えた取り組みを継続していく予定です。コーヒー豆がもたらす価値を再評価し、農家の生活を支えるための持続可能な方法を模索することで、次世代に受け継がれる仕組みを確立していくでしょう。今後の進展に期待が高まります。