FP&A実態調査2025:成功企業と失敗企業の分かれ道
株式会社ログラスが実施したFP&A(Financial Planning & Analysis)に関する実態調査の結果が公開されました。この調査は、変化の激しい経済環境における企業の意思決定プロセスを理解するために行われ、特にフォーカスされたのは、FP&Aがどのように功を奏しているかという点です。調査の結果、FP&Aを導入した企業のうち、約29%がその有効性を実感していることが明らかになりました。
調査の目的と背景
グローバル経済の不安定さが増している現代、企業はより精緻で迅速な経営判断が求められています。FP&Aはこのようなニーズに応える手法として、世界中で注目を集めていますが、日本においてはまだ導入状況にばらつきが見受けられます。この調査を通じて、FP&Aを実装した企業とそうでない企業の実情を探り、成功の鍵や、直面している課題を明らかにしようとしています。
主な調査結果
- - 成果実感の割合:FP&Aを導入した企業のうち、十分な成果を実感しているのは29%に過ぎず、成功と失敗の明暗が分かれています。
- - 取り組みの領域:効果があった企業は、組織構築や人材育成、経営管理プロセスの整理、データベースの統合など、4つの領域をバランスよく推進しています。特に、経営管理プロセスの整理が成功の起点となっています。
- - 環境障壁:一方で、成果を挙げられない企業では「十分な権限がない」ことや「事業部からの抵抗」が大きな障害となっています。
FP&Aをうまく運用している企業は、早期に成果を上げ、社内の理解が得られることで良好な循環を形成します。反対に、成果が実感できない企業は、この好循環を構築することができず、悪循環に陥りやすいことが分かりました。
FP&A成功への道筋
調査が示すように、FP&Aの本質的な貢献は、経営の意思決定をサポートすることにあります。企業は、特定の数字を記録するだけでなく、予算の策定や実績の分析、さらには未来の予測を行うことで、全体の企業価値を向上させていかなければなりません。データをしっかり活用し、経営プロセスを整理し、高度化することで、大きな成果を得る可能性が高まります。成果を挙げるためには、まず着手しやすい領域から取り組み、早期に成果を実現し、その結果をもとに権限を拡大し、他の領域に投資を広げることが重要です。
有識者の見解
FP&Aに関する著書も出版している専門家、石橋善一郎氏は「日本企業におけるFP&Aの導入に際しては、組織内の障壁を克服する必要がある」と指摘します。特に、本社と事業部の間や各部門間の壁が導入の妨げになっていると述べています。開始点としては、経営管理プロセスの整理と高度化が不可欠であり、これが企業価値を創造するための強固な土台となるでしょう。
まとめ
本調査結果は、FP&Aの導入と運営に際する日本企業の課題とその解決策を示しており、多くの企業がこの道筋を踏むことで、自社の経営判断をよりデータドリブンに進化させるチャンスを与えているといえます。FP&Aを効果的に活用することが、企業の競争力を左右する重要な要因となる今、各社はこの調査結果に基づいて戦略を見直す事が求められていると言えるでしょう。