東京都写真美術館が30周年を祝う特別展を開催
東京都恵比寿に位置する写真美術館が、総合開館30周年を記念した展覧会『カスババ ―この日常を生きのびるために―』を開催します。この展覧会は、著名な写真家でありアーティストである鷹野隆大氏の魅力を余すことなく紹介する内容となっており、日常の中に潜む多様なテーマが探求されます。
鷹野隆大の作品に迫る
鷹野隆大氏は、1963年に福井県で生まれ、1994年から写真家としての活動を本格化させました。彼は、セクシュアリティをテーマにした作品で知られており、写真集『IN MY ROOM』では木村伊兵衛写真賞を受賞しました。今回の展覧会では、約120点の作品が展示され、特に日常をテーマにしたスナップショットシリーズが中心となっています。これらの作品は、鷹野氏が1998年から続けているプロジェクト「毎日写真」に基づいており、日常生活のありのままの姿を映し出しています。
展覧会のタイトル『カスババ』は、鷹野氏が作り出した造語であり、日常の中の退屈さや無関心を示すものとして位置付けられています。彼は日々の生活の中で遭遇する「カス」のような場所こそが、自身の思考を育む源であると考えています。鷹野氏は、過去には見過ごされていたそのような場所に新たな価値を見出し、私たちに強烈なメッセージを送っています。
作品の多様性と挑戦
本展では、日常の喧騒や苦悩をテーマにした初公開の作品も数多く含まれています。特に、東日本大震災以降に制作された作品や、影をテーマにした『Red Room Project』なども見逃せません。鷹野氏は、実験的で多様な手法を用い、映像やインスタレーションを通じて新たな表現の可能性に挑戦しております。
さらに、金曜日の夜には特別上映が行われ、鷹野氏の映像作品《花火》(2007)が18:00から20:00の間に展示されます。この作品は、ビルの隙間から見える花火の様子を捉え、音と映像のズレに関する探求が行われています。
トークイベントや対談も
展覧会では、学芸員によるギャラリートークや、出品作家とゲストによる対談も予定されています。これらのイベントを通して、鷹野氏の作品背景や哲学に触れる機会があります。特に、対談には著名な研究者やデザイナーも参加するため、深い議論が期待されます。
開催情報
展覧会名: 総合開館30周年記念 鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―
会期: 2025年2月27日(木)~6月8日(日)
会場: 東京都写真美術館 2階展示室
観覧料: 一般700円、学生560円、中高生および65歳以上350円
この展覧会は、私たちの日常を見つめ直す機会を提供してくれる貴重な体験です。鷹野隆大氏の行った挑戦と、彼の作品が描き出す現実を、ぜひ自身の目で感じてみてください。