パレスチナの子どもたちを襲う危機
2025年3月、ユニセフ中東・北アフリカ事務所の代表エドゥアルド・ベイグベデルは、パレスチナを訪問し、現地の子どもたちが直面する深刻な情勢について警告を発しました。彼の報告によれば、249万人もの子どもが、暴力の影響や人道的危機に直面しています。
特に、ガザ地区では物資と電力が奪われ、多くの子どもが生きるために欠かせない基本的なサービスを受けられていません。また、ガザの医療施設へのアクセスが制限されているため、約4,000人の新生児が必要なケアを受けられずにおります。これにより、数多くの命が危ぶまれています。
医療と生活必需品の不足
ガザ地区では、約100万人の子どもたちが、食料や医療品などの必要な物資が不足している状況に置かれています。特に、18万回分以上のワクチンが供給されず、2歳未満の子どもたちが病気にかかるリスクが高まっています。これに加え、新生児集中治療室向けに必要な人工呼吸器が不足しており、事態はますます深刻化しています。
2015年以降の紛争の影響で、衛生状態や水道インフラも脆弱化しており、このままではさらなる健康問題が発生する恐れがあります。ユニセフは、ガザ地区における支援を希望しているものの、物流の問題が解決されない限り、適切な支援活動を行うことは難しいと言わざるを得ません。
避難を余儀なくされる家族
ヨルダン川西岸地区ともなると、多くの家族が家を追われ、避難生活を強いられています。最近の報告によると、35,000人以上が避難を余儀なくされ、1万2,000人の子どもたちが教育の機会を失う事態になっています。また、頻繁な道路封鎖や学用品の不足も影響し、教育環境がますます悪化しています。
ユニセフの取り組み
ユニセフは、パレスチナの子どもたちを保護し、支援するために、可能な限りの努力を続けています。明確な目標は、必要な支援物資を迅速に届け、命を守るための支援を続けることです。水道システムの修復やメンタルヘルスのセッションも行い、多方面から子どもたちをサポートしています。しかし、現状ではまだ十分とは言えません。
人権と国際社会の責務
この状況は、単に一地域の問題ではなく、国際社会全体にとっての責任でもあります。すべての関係者は、国際法を遵守し、暴力の根絶と人道的支援の迅速な提供を求めることが求められます。また、すべての人質の解放が実現され、持続可能な平和が訪れることを強く願います。
命を奪われたり、怪我をしたりする子どもたちをこれ以上増やさないために、今こそ行動を起こす時です。ユニセフは引き続き、パレスチナの子どもたちの命を守るべく活動を続けていきます。