がん患者の実体験を追体験できるボードゲーム、がんノートJOURNEY
がん患者の実体験に基づいて設計されたボードゲーム『がんノートJOURNEY』が、2025年度グッドデザイン賞を受賞しました。この賞は公益財団法人日本デザイン振興会が主催し、優れたデザインを通じて社会に貢献することを目的としています。
がんノートJOURNEYとは
『がんノートJOURNEY』は、がんを経験していないプレイヤーがこれからの人生でがん患者としての経験を“追体験”できる形式のボードゲームです。プレイヤーは診断、治療、家族との関係など、がん患者が直面するさまざまな状況を通じて、現実的な選択を行うことで、がんに対する深い理解を促します。この経験は、がんを自分のこととして考える良い機会となるでしょう。
このボードゲームの開発には約2年の時間が費やされ、がん患者や医療専門家の実体験を基に、専門家の指導のもとで制作されました。そのため、非常にリアルで説得力のあるゲーム体験が実現されています。既に、製薬会社や保険会社、教育機関などでの研修の場でも導入されているほか、様々なイベントでの実施が行われ、多くの参加者から評価を受けています。
受賞の意義と社会への影響
がんノートの代表理事、岸田徹氏は、「がんはもはや他人事ではなく、自分にも起こりうる病気であるという認識が必要」と語ります。がん患者のリアルな声を反映したこのボードゲームは、あらゆる人々が“がん”について自然に会話できる場を創出することを目指しています。400名を超えるがん経験者の意見が反映されているゲームを通じて、プレイヤーは「もし自分だったら」と想像しながら、社会の一員としてのサポートの重要性を再認識することができるのです。
今後の展望
受賞を受けて、がんノートは地方自治体や様々な教育機関との連携を進め、さらに幅広い分野での啓発活動を強化していく方針です。がんを「特別なもの」として捉えず、身近な問題として意識する社会が築かれることを願っています。ボードゲームは、がん患者とその家族、さらには社会全体の理解を深めるためのツールとして、今後も活用が期待されています。
NPO法人がんノートの活動
がんノートは2014年に設立された非営利団体で、がん経験者の声やリアルな情報を広めることを目的としています。YouTubeを通じて患者や医療者のインタビューを配信し、一般の人々ががんについての情報を取得できるよう努めています。また全国で講演や研修を実施し、がんに関する啓発活動にも力を入れています。
まとめ
『がんノートJOURNEY』の受賞は、がんが現代社会における重要な課題であることを映し出しており、多くの人々の理解を助けることが期待されています。私たちが今後「がん」をどのように考え、周囲と支え合いながら生きていくかを考えるきっかけとなるこのボードゲームに、ぜひ多くの方に触れていただきたいと思います。